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両丹日日新聞2018年11月15日のニュース

国宝・重文財保護に欠かせず 国も職人たちも丹波漆に熱い期待

パネルディスカッション 国宝、重文など文化財保護に携わる人たちから見た丹波漆をテーマにしたシンポジウムが、産地の京都府福知山市夜久野町でこのほど開かれた。そもそも「文化財」とは何かという根本から始まり、守るためには幅広い分野の多くのものが必要であり、中でも漆は欠かせぬ重要な資材だと再認識する場になった。

 NPO法人丹波漆(岡本嘉明理事長)が毎年開いている「うえるかむまつり」の一つ。福知山市共催。額田の市夜久野ふれあいプラザを会場に、漆に関心を持つ市内外の人たちが集まり、語り合った。

 初めに文化庁文化財第1課の原唯文部科学技官が「文化財を支える技術と丹波漆」と題して基調講演。みんなが長く残していきたいものが「文化財」だという基本から説き起こし、維持していくためには修繕が必要で、修繕には技術だけでなく、道具や材料なども必要になる。そこで、材料が絶えてしまわないよう、文化財建造物の保存に必要な資材の供給・研修林「ふるさと文化財の森」を国が06年から設定していて、夜久野も09年に設定されたことを紹介した。

 国内の漆流通量の大半は輸入漆だが、文化財を、作られた当時に極力近い形で残していくため、国は文化財修繕に100%国産漆を使うことにしている。修復が必要な文化財は多いが、国産漆の生産量は少なく、原技官は丹波漆の増産に期待の言葉をかけた。

 また、増産に向けて植樹活動に取り組んでいるNPO法人丹波漆については、植えた木1本ずつの生育データを細かに記録していることを取り上げ「他産地には例が無い」と評価した。

 続くパネルディスカッションでは、各地の国宝建造物などを修繕している技術者や、漆に携わっている人たちが加わり、「京都の文化財には、気候風土が同じ京都の漆を使いたい」と、近畿唯一の産地・夜久野への熱い思いを語った。

 「うえるかむまつり」は、シンポジウムの翌日には夜久野高原の植栽地での漆の苗木植樹、道の駅農匠の郷やくの内、市やくの木と漆の館での箸に色漆を塗る体験会も行われた。


写真=基調講演に続きパネルディスカッションに臨み、丹波漆への期待を語った文化庁の原技官(中央)

    

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