鬼についての見識を深める「鬼シンポジウムｉｎふくちやま2018」が、京都府福知山市大江町佛性寺、鬼伝説の山・大江山にある日本の鬼の交流博物館で10日に開かれた。専門家による講演や3人で話し合う鼎談があり、地方に伝わる鬼文化の知識を深めた。世界鬼学会、市教育委員会共催。

　初めに基調講演があり、帝塚山大学文学部の高田照世准教授が「オニの両義性」について話した。

　高田准教授は、善と悪の二面性を持つ鬼について解説。東北地方などで鬼の仮面をかぶって家々を回るなまはげは、各家では神の化身として丁重に迎えられており、良い存在として見られている事例を紹介。半面、仏教の世界では悪の象徴になっていると説明した。

　また府北部の丹後地域の伝統行事では、節分の際に豆を投げずに、家の裏口を開けて鬼を迎え入れるといった風習が残る地区や家があることも話した。

　このあと高田准教授と世界鬼学会の八木透会長、歴史作家で同学会副会長の丘眞奈美さんによる鼎談（ていだん）があり、鬼と御霊信仰の関連性などについて意見を出し合った。


写真＝丹後地域の節分行事などを説明する高田准教授