ノーベル化学賞を2008年に受賞した京都府福知山市出身の下村脩さんが19日朝、老衰のため長崎市内で亡くなった。90歳だった。緑色に光る蛍光たんぱく質(GFP)を世界で初めて発見し、精製することに成功。アルツハイマー病の発症、がん転移のメカニズム解明など医療の研究に役立てられ、大きな功績を残した。
下村さんは、陸軍将校の長男として1928年に福知山市で生まれ、5歳で長崎県佐世保市に移った。その後、長崎医科大学付属薬学専門部を卒業し、名古屋大学で理学博士を取得して米国プリンストン大学に留学。オワンクラゲの研究に着手した。
地道な研究を重ね、オワンクラゲから紫外線が当たると緑色に光るGFPなどを発見し、抽出することにも成功。生命科学だけでなく、医学研究の飛躍的な進歩にも貢献した。
ノーベル賞受賞の翌09年には福知山市を訪問。名誉市民顕彰を受けたほか、生まれた岡ノ地区一帯を歩き、76年ぶりとなる古里の風景を懐かしんだ。
またノーベル化学賞の受賞をきっかけに、小中学生が夏休みに取り組んだ自由研究を表彰する「下村脩グランプリ」を、市教委など主催で毎年開催。今年で10年の節目を迎え、子どもたちが理科への関心を高めるきっかけになっている。
訃報を受け、福知山市の大橋一夫市長は「市民の大きな誇りでございました。『何事もやればできる。どんなことでも努力すればできる』というメッセージは、市民の胸に深く刻まれております」と悼んだ。
写真=古里の福知山市を訪れた際の下村さん(09年10月9日撮影)
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