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両丹日日新聞2018年8月15日のニュース

「歴史」は嗜好品ではなく必需品 磯田道史さんが公立大で講演

講演する磯田さん NHK大河ドラマ「西郷どん」の時代考証を担当する歴史学者、磯田道史さん=国際日本文化研究センター准教授=がこのほど、京都府福知山市西小谷ケ丘の福知山公立大学で講演した。歴史を学ぶ重要性や本能寺の変などについて考えを示した。

 磯田さんは歴史学について、「堅い歴史研究はもちろん大事だが、現代社会に貢献し、産業に資する歴史学があってもいい。歴史が今の世の中にヒントを与えることもある」と説明。その一つとして挙げたのが「災害の歴史」。「災害の歴史を学ぶことで、災害を避けられることもある」と強調したうえで、「歴史は嗜好品ではなく、なくてはならない必要品。似ているものとしては靴。歴史という靴を履かずに世の中を歩くのは危険」と、歴史を学ぶ重要性を分かりやすく例え、聴衆をうなずかせた。

■大黒像切った野心家・光秀 信長に不満■

 2年後のNHK大河ドラマの主人公に決まり、福知山に関わりが深い明智光秀にも触れた。「あるとき、光秀が木造の大黒さまを手に入れ、神棚に置いていたところ、家を訪れた客から『大黒さまを持っていると千人隊長になれる』と教えられると、光秀は千人では満足できないと、大黒さまを切った」という、野心家としての側面をうかがわせるエピソードを紹介した。

 本能寺の変は「信長になじられたり、蹴られたりして不満を持っていたのは事実。信長の家臣が追放されたり、殺されたりしているのを見ていて、不安があった状況は間違いない」と断言。また、「なぜ、信長を簡単に殺せると思ったかに注目したい」とし、「信長は京都に来たら光秀の屋敷によく泊まっていた。無防備で、すやすやと寝ている状況を見ていて、『これなら討ち取れる』と思った。『できる』と思わせたのも動機の一つでは」と解説した。

 磯田さんは、公立大学のオープンキャンパスの特別講演として来学。歴史番組の司会や映画「武士の家計簿」の著者として知られていて、歴史ファンなど約180人が来場した。


写真=軽妙な語り口で講演する磯田さん

    

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