7月豪雨から1カ月が経った。京都府福知山市の山間部、中山間地では、田んぼが壊滅状態のところがある。穂を伸ばした稲が並び、いつもの年と変わらないように見える田もあるが、その多くで地面がひび割れている。流れ出た土砂で水路がふさがれ、水が引けない。「今年は何とか収穫まで頑張るが、来年はどうしたものか」。被害を受けた農家の人たちは、ため息をつく。
■田の放置は地域の荒廃招くからと頑張って来たが■
「これを機に米作りはやめてしまうか」「でも、田を放置すると地域は荒廃する」。農家の心は揺れ動く。水路などの施設を元通りにするには、時間と費用、労力、何より強い気力がいる。
福知山市大呂では、地区内を流れる大呂川や小河川が氾濫し、田畑への土砂流入や水路、有害鳥獣防止柵の破損など、農業関係で50カ所以上が被害を受けた。
被災した農家の一人、阪梨孝志さん(71)は「米作りは、ただでさえ赤字です。そのうえに、この災害に見舞われて…。それでも、先祖代々受け継がれてきた土地を、簡単に荒廃させたくない」と話す。
計1ヘクタールの田の一部に川から土砂が流れ込んだ。さらに水路が詰まり、毎日電気ポンプを使って水をくみ上げるなど、いつも以上に労力と経費がかかる。
別の課題の一つは、地権者と耕作者が違うケースがあること。被災した田について、地権者は「復旧費を払ってまでは…」と考えることが予想され、そうなれば耕作放棄地になる可能性が高い。
耕作者も利益が目的ではなく、「集落の荒廃を防ぐために」と、頑張っている人が多く、費用を肩代わりしたり、自らの労力で復旧して継続することは難しい。
自治会長の阪梨範明さん(67)は「地区の有害鳥獣防止柵も、主だったところが2月末に完成したばかりだったのに、延長1200メートルが破損しました。すでにシカが侵入しています。そんな状況ですが、農家のみなさんには、行政の支援制度も活用し、頑張って耕作を継続していただければ」と願う。
写真=7月豪雨で大呂川から土砂が流れ込んだ田
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