珍しい茅(カヤ)葺(ぶ)き屋根の葺き替え工事が、京都府福知山市三和町大原、大原神社(林秀俊宮司)の絵馬殿で行われている。かつては多く見られたものの今では茅葺きの建物そのものが減り、葺き替えは貴重な機会とあって、技術伝承や関心を持ってもらう機会にと、21日には見学会が行われた。
絵馬殿は1863年に再建されたもので、府有形文化財指定を受けている。豊作を願った江戸時代の「四季耕作図」など絵馬35点が奉納されているほか、舞台もあり、地域の祭りなどで活用されている。
葺き替えは屋根の北面で行われており、20年ぶり。古くなって雨漏りなどが発生していたため、3年ほど前から準備を進めていた。幅約14メートル分をすべて葺き替えるほか、東西部分にも新しい茅を詰める工事をしており、総工事費は1300万円。府、市の補助を受けている。
見学会は初めての催しで、多くの人に足を運んでもらう機会にと市が企画し、神社、施工業者の美山茅葺株式会社(南丹市美山町)と協力して開いた。午前と午後に同じ内容で絵馬殿内で開いた。
午前の部には51人の見学者が訪れ、初めに市職員が絵馬殿の歴史や絵馬について説明。続いて美山茅葺社の駒宏樹さん(37)=同町菟原下出身=が、全国にある茅葺き屋根についてスライドで紹介し、「今回の工事では静岡、熊本、宮城県産のススキを約3千束使う予定です」と話した。また、葺き替えに使う道具も見せた。
このあと、参加者らは絵馬殿から出て、茅葺き作業が進められる様子を見学。俳句仲間だという女性3人組は「茅葺きをしているところなんて見る機会が無いので、見られてよかったです」と話していた。
工事は8月末ごろまで予定しており、見学は随時できる。
写真=茅葺き工事を見学する人たち
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