京都府福知山市猪崎、三段池公園内の市動物園(二本松俊邦園長)で命を救われたカルガモが、まるで恩返しのように、小さな命を救おうとしている。コールダックが放棄した卵を代わりに抱き、懸命に温める。その献身的な姿に、園の職員たちも「こんなことがあるのか」と驚いている。
コールダックが卵を産んだのは4月中ごろから終わりにかけて。複数の親鳥が約10個を産んだが、飼育小屋にヘビが侵入して半分ほどが食べられてしまった。コールダックたちはヘビを恐れて卵を抱かなくなり、しばらくするとカルガモが代わって抱卵するようになった。
このカルガモ自身も、市動物園で命を救われた鳥だった。
昨年6月、市内に住む人が畑の草刈りをしていて8個の卵を見つけ、このままではひながかえらないのではと心配し、野生鳥獣救護センターの役割も担う市動物園に預けた。
5日後に8羽のひながかえったが、すぐに2羽が死に、残りの6羽は泳げるようになってから園内の車池広場周辺に放されていた。
その後、6羽は順調に育ち、10月に入ると自然へ戻るため園の内外を行き来するようになったが、そのうち1羽だけは園に残り、飼育されているコールダックたちと一緒に小屋の中で冬を越した。
園に残った1羽が、いま抱卵しているこのカルガモ。小屋の外で羽を伸ばすコールダックたちに代わって、じっと卵を温め、職員が近付くと威嚇するほど。
孵化するとすれば、ここ数日の間だとみられるが、卵の中の子どもがすでに死んでいる可能性もあるという。園ではひなが誕生するまで、卵を狙う外敵に気を配りながら見守っていく。
二本松園長(73)は「親でない鳥が他の鳥の卵を温めるのは珍しい。園に残って卵を温める姿はすごく律儀で、心が温まります。無事にひながかえってくれたらうれしい」と話している。
写真=コールダックが放棄した卵を懸命に温めるカルガモ
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