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両丹日日新聞2018年5月23日のニュース

60年前に植えた木と再会 元河守鉱山従業員が大江山訪ね

 大江山中腹の京都府福知山市大江町佛性寺、日本の鬼の交流博物館(塩見行雄館長)駐車場に、メタセコイア(ヒノキ科)の巨木が1本立っている。博物館駐車場周辺は昔、旧河守鉱山の社宅があった場所で、木は鉱山で働いていた男性が60年ほど前に植えた。18日にこの男性が家族と一緒に博物館を訪れ、木と再会。「よくここまで大きく育ってくれた」と感慨にふけった。

 男性は三重県鈴鹿市在住の菊地浩二さん(85)。1932年に福島県いわき市で生まれ、6歳のころに家族で大江へ移住し、父親は河守鉱山で選鉱員として働いた。家族は現在の鬼博近くの童子荘周辺にあった社宅で暮らし、菊地さんも10代後半のころから鉱山で働き始め、総務の仕事に携わった。

 植物が好きだった菊地さんは25、26歳のころ、社宅裏の畑の一角に、別の場所で採取した高さ約50センチのメタセコイアの苗木1本を植えて育てた。

 鉱山が閉山となる前の67年に、菊地さんは鉱山運営会社の本社勤務となり、東京への移住が決まった。住んでいた社宅が無くなることが分かっていたため、東京へ行く前にメタセコイアを社宅から約100メートルほど離れた現在地に移した。

 60歳で定年退職したあとは、鉱山跡を訪れる機会は少なかったが、福知山観光協会大江支部の会報紙「観光おおえ」にメタセコイアの写真や説明書きが載っているのを見て、もう一度目にしておきたいと、大江町在田出身の妻・峯子さん(79)ら家族5人で訪問を実現させた。

 木は博物館の駐車場の一角にあり、高さ約30メートル、幹周り2・4メートルほどに育っている。

 菊地さんは駐車場に立つ木と対面し、樹皮に触って手を広げ、幹周りの大きさを確認。「まさかこんなに大きく育っているとは思ってもみませんでした」と感動し、「見に来ることができて本当によかった。今度は紅葉した時の様子も見てみたくなりました」と再度の来訪を望んでいた。


写真=自身が植えたメタセコイア(写真奥の木)を久しぶりに見た菊地浩二さんと峯子さん

    

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