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両丹日日新聞2018年5月22日のニュース

森林保全に伐採した木で寺院修復 訓練生が実習兼ね作業

回廊の修復をする高技専の訓練生ら 京都府福知山市喜多の高野山真言宗金光寺(廣安龍哉住職)にある不動堂の回廊が、裏山の木材を使って修復されている。市内企業が、森林の保全のために伐採した木の有効活用として寺に修復を提案。平野町の府立福知山高等技術専門校の訓練生が実習を兼ねて作業に出向き、地元産材を生かした取り組みと交流が進んでいる。

 金光寺がある三岳地区で森林保全活動に取り組んでいるのは、牧の産業廃棄物処理業・スリーエス(丸岡陽太社長)。2004年に市内で発生した台風23号被害で、たくさんの木の流出物が出たことから、被害状況などについて調べた。その結果、未整備や放置といった森林環境の悪化などが原因にあることが分かったという。

 これを何とかしようと、05年から2年間、独自の活動を続けたが、会社の負担が大きかったため取り組みを断念。しかし、近年水害が増えたことを受け、何とかもう一度活動をと考え、府の「府民みんなで京都の森を守り育む『京都モデルフォレスト運動』」に参画した。

 15年10月に京都モデルフォレスト協会、三岳地区、府、市と5年間の協定を締結。翌年5月から年に2回、ボランティアで同寺周辺の山で木の伐採、桜の植樹、草刈りといった作業をしてきた。

 その中で不動堂の老朽化に目が留まり、修復を寺へ提案したことがきっかけで今回の活動につながった。

 修復工事は、2016年の活動で間伐したヒノキを使用。同年の訓練生が不動堂入り口前の地面に木材を埋め込んで木製階段を新調し、昨年度の訓練生が回廊で使う木材の加工を進めてきた。

 今月20日はスリーエス社員、各自治会長ら地区の住民、訓練生らが集まる活動日で、訓練生5人が、教職員の指導を受けながら古くなった回廊の板をはがし、新しい土台に板を張るなどした。この日は長さ9・5メートルある4辺のうち1辺のみで作業、残りは10月に完成させる予定。

 また、スリーエスの社員が付近にある滝つぼ整備などに取り組んだほか、昼食を囲んで交流した。

 訓練生の一人は「昔の人は、電動工具などがなくても、こうした建築をしていてすごいと思いました。道具をうまく扱うのが思ったより難しいです」と話し、丁寧に作業していた。

 廣安住職は「不動堂は江戸時代末期に建設されたと伝わっており、老朽化が進んでいました。本当にありがたいことです」と感謝。丸岡社長は「寺周辺に人が集まるような環境整備ができればと思います。訪れた人に自然の大切さを知ってもらい、森林保全運動の輪が広がればうれしい」と話していた。


写真=回廊の修復をする高技専の訓練生ら

    

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