京都市の佛教大学民俗学研究会はこのほど、大江山のふもとにある京都府福知山市大江町佛性寺の住民の生活や年中行事などについて詳しく解説した調査報告書「民俗志林」第8号を発行した。研究会の学生、OBたちが住民から聞き取りをし、地元に残る資料も参考にして、まとめている。
民俗学研究会は1977年にできた文科系サークルで、各地の祭りや信仰、神話などについての調査活動をしている。西日本各地へフィールドワークに行き、住民たちの暮らしぶりを調べ、結果を民俗志林として出している。
佛性寺でのフィールドワークは、12年夏から17年夏までの5年間かけて、卒業した学生たちを含め33人が調査に関わり、何回も現地に赴いた。
■河守鉱山や年中行事、食べ物の冬季保存も■
報告書は6章に分かれ、第2章の「なりわい」では、農林業のほか、地区内で昭和の時代に栄えた河守鉱山について解説。鉱山に働きに来ていた全国の労働者のうち、東北からの人たちが多かった状況などを載せている。
第3章の「日々の暮らし」では、冬の時期の食べ物の保存方法について、イモを軒下や耕地に掘った穴の中に入れる温蔵を紹介している。
第5章の「年中行事」の中では、自治会の「3組」だけが8月に実施しているまんとうの虫除けの火行事を掲載。写真付きで、住民たちが豊作を願い、薪を燃やしている様子を掲載した。
報告書はB5判、126ページで400部作製。佛性寺の全戸に計40冊を配ったほか、日本の鬼の交流博物館に20冊を寄贈した。
第8号の編集長を務め、この春佛大を卒業した黄之瀬寛朗さん(22)=滋賀県湖南市=は「佛性寺には昔の資料が多く残っていて、そこからいろいろなことが分かりました。地区の方々は親切に昔のことを教えてくださり、貴重な経験ができましたた。多くの人たちに読んでほしい」と言う。
研究会顧問で、佛教大歴史学部の八木透教授(62)は「学生たちは細かく調査を行い、成果が出せました。地元の人たちには、報告書を通じて、かつてこんな行事などがあったんだと記憶してもらえればうれしい」と話している。
報告書についての問い合わせは日本の鬼の交流博物館、電話0773(56)1996へ。
写真=5年間かけて佛性寺で調査し、まとめられた民俗志林
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