「鉄道のまち・福知山」の歴史を伝えてきた京都府福知山市下新町、福知山鉄道館ポッポランド1号館(足立和義館長)が、建物の老朽化などに伴って3月末で休館した。開館20年で30万4443人が入館。運営団体は市内の別の場所での再開を望んでいるが、管理する市は今後の在り方を、近く設立する検討委員会に委ねるとしている。
最終日となった3月31日は土曜日。朝から好天に恵まれ、開館時間前に親子連れらが訪れ、玄関のシャッターが開くのを待った。普段は、運営する西日本鉄道OB会福知山地方本部で組織する運営委員会のスタッフが1人ずつ交代で詰めているが、この日は11人で応対した。
各地の鉄道愛好家や親子連れらに、展示されているC57動輪や北丹鉄道関係資料、旧国鉄鉄道部品などの鉄道遺産を、機関士などを務めていた自身の体験談を交えながら説明した。
午後4時20分ごろから、北丹鉄道西駅を模した玄関付近で、休館に伴う感謝セレモニーがあり、足立館長があいさつ。「多くのみなさんに親しまれてきましたが、市の方針で休館となります。低迷していた入館者数が戻っていただけに残念でなりません」と寂しい表情で語った。
さらに「再開を願って取り組んでいきます。みなさんもご支援ください。新しい1号館でまた会いましょう」と呼びかけると、周りから一斉に拍手が沸き起こった。SL模型からドライアイスの煙が上がり、来館者の帰り際にスタッフが記念の特製乗車券などを配った。
鉄道愛好家で大阪府箕面市の会社員(50)は「福知山駅には以前、山陰随一の機関区があり、高架化される前からよく来ました。ポッポランドは規模は小さいですが、鉄道マンとして働かれた方の生の声を聞ける施設で、展示資料も貴重なもので魅力的でした。近隣の鉄道館と連携させるなど工夫をしてぜひ残してほしい」と語った。
■再開は検討委で協議■
鉄道館は1931年に建設された施設の1階を使い、98年9月に開館。地元商店街が長年運営してきたが、入館者は開館2年目をピークに減少し、一時は年間1万人を切った。14年春に鉄道OB会地本が運営を引き継いぎ、これを機に年間入館者は増加に転じ、今年度の入館者は2万3213人と、過去2番目に多かった開館3年目と同じ水準になった。
今回の休館について市は「閉館ありきでの休館ではない」とする。関係者によると、検討委は今春に設立し、移転先や民活導入、採算面などを含めて多方面から議論が交わされ、結論は冬に出る見通し。なお、広小路通り沿いにあるC58の実車を展示した同館2号館は4月以降も残る。
写真=帰り際に記念の特製乗車券をスタッフから受け取る来館者
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