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両丹日日新聞2018年3月19日のニュース

卒業祝いにドクターイエロー 重度の障害持つ中川君へ伊藤さん

 SLから電車までさまざまな鉄道模型電動車を手作りする京都府福知山市正明寺の元JR社員、伊藤成光さん(74)が17日、重度の身体障害がある修斉小6年生の中川心人君(12)=荒河東町=に、黄色い新幹線「ドクターイエロー」の模型電動車を、卒業祝いに贈った。模型電動車のオーナーとなった心人君は早速、広場で親子そろって乗り、弾けるような笑顔をみせた。

 伊藤さんは30年以上前から模型電動車を作っている。これまでに、SLからトワイライトエキスプレス・瑞風まで30種類以上を製作。主に廃材を利用しており、精巧なだけでなく、バッテリーを積んでモーターを動力源に人を乗せて走ることができるのが特徴で、市内外各地のイベントで引っ張りだこになっている。

 心人君は幼いころ、新幹線で九州を訪ね、走る日時が明かされず「新幹線のお医者さん」と言われるドクターイエローを偶然目撃。これを機に鉄道に関心を持つようになり、伊藤さんの模型電動車が走るイベントには、会社員の父親、宗徳さん(52)に連れられてたびたび出向いていた。

 車いすの生活のため、イベントでは父に抱えられて乗り、屈託のない笑顔をみせる。その姿を見るたびに伊藤さんは「心人君専用の模型電動車を作り、思う存分に乗ってほしい」との思いを募らせた。

 これまで作った車両は1両に子どもなら5、6人乗れるものだが、今回は小回りが利き、自動車で運搬がしやすいように先頭車の前方部分を今までより一回り小さいサイズ(長さ約1・1メートル、幅約50センチ、高さ約70センチ)にした。これに宗徳さんが乗車できる車いすほどの大きさの小型車両を連結。先頭車の後部に取り付けたハンドルのグリップを回して速度調整をし、ゴムタイヤを回して走らせる仕組みにした。

 シートは心人君の転倒を防ぐために下半身を固定できるチャイルドシートを採用。乗り降りがしやすいようにシートの手すりは可動式にした。 

 この日、伊藤さんは約2カ月かけて完成させた車両を正明寺の広場でプレゼント。スイッチを押すと赤色灯が点灯し、BGMの音楽が流れ、警笛も鳴る仕様で、初めて乗った心人君は満面に笑みを浮かべた。

 宗徳さんも「伊藤さんが息子を喜ばせようと、専用の車両を作ってくださりうれしい」と喜び、「この車両をもとに、友だちの輪が広がれば何よりです」と話していた。

 伊藤さんは「心人君が孫の同級生ということもあり、今回は特別に作りました。今までドクターイエローのベースとなる700系新幹線を作った経験があり、成形自体は難しくなかったですが、安全性を高めるなど今までにない苦労はありました。喜んでもらえたことが何よりうれしい」と話していた。


写真=伊藤さんから贈られた模型電動車に乗り、笑顔をみせる中川さん親子

【伊藤さんのニュース(作品)】
 ・「瑞風」の電動カー製作 子ども20人乗せて走行
 ・子どもたち乗せるN700系新幹線が完成
 ・新型車両289系の模型製作
 ・廃材利用で走るSL
 ・クリーム色をベースに赤い帯 国鉄色特急381系
 ・福知山駅のイベントでも活躍

    

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