多くの犠牲者が出た東日本大震災から11日で7年となる。これを前に京都府福知山市夜久野町高内の小中一貫校・夜久野学園(曽根肇校長)で震災学習が9日にあり、小学5年生から中学2年生まで計66人が、震災発生直後に被災地で災害警備活動をした府警福知山署員から体験談を聞いた。震災の記憶を風化させずに後世に伝える思いを込めた内容で、児童、生徒たちは災害時に助け合う大切さなどを学んだ。
講師に迎えたのは下夜久野駐在所の藤本英樹警部補(33)。当時は京都市の下京警察署(旧五条警察署)に勤務しており、近畿管区機動隊員として被災地の宮城、岩手、福島3県に1年間で計8回、延べ100日近く派遣された。
講演ではスクリーンに、救援車両などの長い列ができたガソリンスタンド、大津波の被害で一帯ががれきの山と化した町などの記録写真を映しながら、活動の様子を説明。「倒壊家屋のがれきをバケツリレーで運び出し、一人でも多くの生存者を見つけようと懸命に捜索した」「流れが止まってしまい、腐った水がたまった水路に腰まで入り、行方不明者を探した日もあった」と警察官として使命感に燃えた日々を振り返った。
この一方で、相次ぐ余震や寒さで体の震えが止まらず、眠れない日々が続いた。原発事故の発生などで「もう京都に生きては帰れないかもしれない」という思いが頭をよぎった時もあったと打ち明けた。
被災地は悲惨な状況だったが「現地の人たちには本当に良くしていただいた。活動を終えて京都への帰途に就く際、『ありがとう』と記した横断幕が掲げられ、宿泊先の従業員の方々に手を振って見送っていただくと、人と人のつながりや感謝の気持ちを持つ大切さを再確認できた」と話し、「協力することの大切さを知り、相手の気持ちを考えられる人になってほしい」と呼びかけた。
「被災地では復興が進み、仮設住宅で暮らす人が徐々に減っているが、被災して家族を失った人らの心の傷は癒やされていない。新たな取り組みが求められている」とも語った。
■修学旅行で熊本市を訪問予定■
同校の中学3年生(現中学2年生)は5月の修学旅行で、一昨年4月に大地震が起きた熊本市の被災地を訪ねる。2013年度から宮城県気仙沼市を訪問していたが、5回訪問というひとつの区切りを終えたことなどから、新年度から行き先を変更する。
写真=派遣された際に着ていた丈夫な活動服を着て話す藤本警部補
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