京都府福知山市下新町にある福知山鉄道館ポッポランドが、25日で開館20周年を迎える。「鉄道のまち福知山」の歴史を伝える施設として、旧国鉄や北丹鉄道の資料など鉄道遺産を多数展示。スタッフを務める元SL機関士らの経験談を交えた分かりやすい説明が好評で人気を盛り返し、入館者は累計29万2118人(8月末現在)に達しているが、移転の話が持ち上がっている。
ポッポランドは1998年9月、中心市街地活性化の期待を込めてオープンした。地元新町商店街が長年運営してきたが、2014年春から西日本鉄道OB会福知山地方本部が引き継ぎ、再出発した。
新町アーケードに面した本館には、高架前の福知山駅周辺のジオラマや蒸気機関車C57の動輪、北丹鉄道関係資料、旧国鉄の鉄道部品、SL写真など500点以上を展示。近くの広小路通りにある2号館には、蒸気機関車C58の実車が静態保存されている。
OB会員有志14人が運営委員会を組織し、毎日1人が交代でポッポランドの事務所に詰め、来館者との対話を大切にし、自らの経験をもとに展示品や地元の鉄道の歴史を分かりやすく伝える。さらに、キッズコーナーや憩いの広場を新設し、幅広い年齢層の人たちが訪れるようにし、リピーターが増えている。
年間入館者数は、開館当初に3万人近くを記録したが、徐々に減少し、13年度は1万人を割っていた。しかし、運営委の努力が功を奏して増加に転じ、翌14年度は41・6%増の約1万3500人に。その後も順調に増え、昨年度は過去4番目に多かった2001年度とほぼ同じ1万7千人に戻った。
足立和義館長は「規模が縮小されていたミニSL乗車会が、今秋は8年ぶりに開催当初の規模に戻ります。全国各地からの来館者が増えることを期待しています。20周年を機に、地域活性化に貢献できるように企画展の充実など一層工夫をした運営をしていきたい。当面の集客目標は年間2万人です」と意欲をみせる。
一方で、施設の老朽化や耐震補強が施されていないことなどで安全性が問題視され、移転も視野に入れて対策を模索している。
ポッポランドが入る建物は、昭和初期に百貨店として建てられたもので、その後、銀行、リサイクルショップへと変遷した。来年3月末で、所有者との賃貸借契約が切れるのを機に、同館では市とともに市街地で移転先を探しているが、建物規模や賃貸料などから適した物件が見つからず、難航している。
足立館長は「移転については先行き不透明な状態ですが、福知山の鉄道の歴史を伝える大事な施設をなんとしても守っていきたい」と話している。
写真=移転先探しが難航している福知山鉄道館ポッポランド
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