「災害からの復興には芸術の力が欠かせない」と、大規模な豪雨災害に見舞われて3年を経た兵庫県丹波市で26日、舞台や物産展などの「福興」イベントが開かれる。住民たちによる「うちの花は赤いプロジェクト」主催。
京都府福知山市の市街地など広範囲が床上床下浸水した2014年の8月豪雨災害。兵庫県側の丹波市では土砂崩れが相次ぎ、1人が亡くなり4人が負傷。家屋も17棟が全壊、8棟が大規模半壊するなど住家だけでも480棟が被害を受けた。国道の橋が落ちるなど、住民の生活に直結する交通にも長期の支障が出ている。
その後、県と市が連携して復旧工事あたり、道路・橋りょう26件▽河川72件▽治山67件▽農地・農業用施設134件▽林道・作業道7件の全てが、今年6月までに完了。未完了は砂防64件のうち6件のみとなっているが、これも、3件は着手済みで、残る3件が近く発注予定となっている。主な事業は「ほぼ完了」したことから、6月3日に市が復旧記念式典を催し、早期に復旧が進んだことを喜んだ。
被災住民の生活復興も進み、一時は44世帯123人が公営住宅に避難していたが、現在は2世帯5人となり、この2世帯も、住んでいた地域で9月中に新しい家が完成して、戻ることができる予定だという。
こうしてハード面の復興は遂げたものの、市が住民に行った調査結果では、現在もまだ5割の人が「被災者だ」と感じており、「気持ちの変化(復興)には時間がかかる」とまとめている。
■26日にライフピアで講話、演劇、物産市■
一方で市民の6割近くは、復興への取り組みに参加したいと回答。中越大地震から「奇跡の復興」を遂げた新潟県山古志村(現長岡市)に学び、住民たちが交流人口拡大に力を入れてソフト面の復興に取り組んで来た。
26日に開く福興イベントも、その一つ。丹波市市島町上田のライフピアいちじまで午後1時から福興ステージ、3時から隣接公園で福興感謝市がある。
ステージは、講話、漫才、演劇、踊りを企画。講話は「鬼平犯科帳 長谷川平蔵風に現代を生きる」と題して、丹波市理事の余田一幸さんが話す。
長谷川平蔵は江戸時代に実在した旗本。浅間山大噴火や飢饉に襲われた江戸の市中で、犯罪者の更生施設を開設して犯罪件数を減らすなど功績を残した。余田さんは「困難な時代にこそ励まし合い、人を慈しんだ鬼平の心を知ってほしい」という。
演劇は、地元丹波市と福知山市の17人で作る人情アマチュア劇団丹波栗が、盲目の沢市と妻お里の夫婦愛をつづった「壷坂霊験記」を元にした「お里沢市 涙の観音参り水害編」を演じる。また交流を続けている山古志村からの一行が山古志盆踊りを披露する。
感謝市では山古志村の名物「かぐら南蛮」や丹波市の特産品を販売。百円縁日、飲食ブース、ちびっこ広場、風船飛ばしなども企画している。福興イベントの問い合わせは、電話0795(85)0359、うちの花は赤いプロジェクト。
写真上=被災直後の丹波市市島町徳尾
写真中=復旧事業が完成した徳尾(2017年6月)=丹波市提供
写真下=福知山市と丹波市のメンバーで活動するアマチュア劇団丹波栗
[PR]
株式会社両丹日日新聞社 〒620-0055 京都府福知山市篠尾新町1-99 TEL0773-22-2688 FAX0773-22-3232
著作権
このホームページに使用している記事、写真、図版はすべて株式会社両丹日日新聞社、もしくは情報提供者が著作権を有しています。
全部または一部を原文もしくは加工して利用される場合は、商用、非商用の別、また媒体を問わず、必ず事前に両丹日日新聞社へご連絡下さい。