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両丹日日新聞2017年8月 9日のニュース

伝統工芸の継承に補助金 福知山市が支援制度創設

田中製紙後継者の山田さん 京都府福知山市は、市内で受け継がれている漆、和紙などの伝統工芸品の製造にかかわる技術や知識を継承するため、後継者の育成に取り組む事業者などに補助金を交付する支援制度を創設した。「伝統文化」の後継者育成にかかわる支援制度の施行は全国でも少ない。第1号は江戸時代から丹後和紙(丹後二俣紙)の製造を続ける大江町二俣一、田中製紙工業所の5代目、田中敏弘さん(55)が対象となった。

 支援制度は、田中製紙と、市内で藍の栽培、染めをする福知山藍同好会、丹波の漆掻きを守るNPO法人丹波漆でつくる「福知山伝統文化を守る会」の要望に応え、4月にできた。

 3団体とも古里に根を下ろし、古くからの技術を継承。文化の普及に努めているが、後継者不足が課題となっている。

 市が創設したのは「市伝統的工芸品等後継者育成事業補助金」制度。後継者の人件費(賃金、給与など)、社会保険料、旅費に相当する経費を合わせた額の2分の1(月額5万円が上限)を事業者に補助する。期間は後継者1人につき3年間としている。

■宮津の山田さんと6月に雇用契約■

 田中製紙工業所の後継者となるのは、宮津市上世屋在住の山田歩さん(30)。大阪市東住吉区出身で、滋賀県志賀町(現大津市)で育った。

 大津市の成安造形大学卒業後の2010年に宮津市に移住し、自宅工房で紙漉きに取り組んできたが、原料のコウゾの栽培から、紙漉きまでの一連の作業に取り組む田中製紙ですべての工程を習得したいと、昨年12月から工業所で研さんを積み、6月に雇用契約を結んだ。

 工業所では、これまで紙漉きとともにコウゾの刈り取りや原料作りなどを経験。今月8日には、観光都市鬼伝説交流事業で福知山市を訪れた静岡県小山町の小学生たちに紙漉きを教えた。

 山田さんは「紙漉きでは紙の厚みを均一にすることや、漉いた紙の圧縮作業などが難しいですが、将来的には教えていただいた技術を生かして、育てたコウゾを原料に和紙作りをしたい」と言う。

 田中さんは「制度ができたことで、ようやく一歩が踏み出せました。山田さんはまじめで、何事にも一生懸命取り組んでいます。あせらず学んでもらい、長年伝わってきた技術を継承してほしい」と期待している。


写真=田中さん(左)の指導を受けながら研さんを積む後継者の山田さん


    

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