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両丹日日新聞2017年8月 4日のニュース

「復興の証し」のブドウ実る 水害受けた戸田で

戸田ぶどう 2013年の台風18号で甚大な被害を受けた京都府福知山市戸田地区で、住民有志17人が復興の証しにと3年がかりで育てたブドウを、6日から販売する。当時の自治会長で、戸田ぶどう園の福山義朗代表(69)は「水害の際には、多くのボランティアの人に助けていただき、本当に助かりました。感謝の心を込めて育てたブドウです。とれたての新鮮な状態で販売しますので、ぜひ食べてみてください」と話している。

 台風18号の影響で、戸田地区は約90戸が床上浸水。大型農機具が水没したり、泥水が流れ込むなどして田畑も大きなダメージを受け、「農業をやめる人も出るのでは」と懸念される状況だった。

 当時の自治会長だった福山さんは「どうにか住民を元気にすることができないか。自分にできることって何だろう」と自問自答。住民らが復興に向け、前を向いて取り組めることを探していた。

 そんなとき、農家の片岡信幸さん(72)が自家栽培のブドウを持って訪ねてきた。「落ち込んでいる地区の人らに配ってほしい」。この出来事が、ブドウ農園構想のヒントになった。

 大型農機具を必要とせず、棚に実るため水害の影響も少ないという。片岡さんからブドウ栽培の話を聞いているうちに、「これだ」とひらめいた。住民らに声をかけ、復興の証しとして、ブドウ作りに取り組む決意を固めた。

■自治会の土地を開墾 試行錯誤繰り返し■
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 「家に閉じこもらず、外に出て心地よい汗を流そう」。そんな呼びかけに応じたのは、片岡さんを含めた60歳〜70歳代の男女16人。自治会所有の荒廃地20アールを開墾し、「戸田ぶどう園」と名付け、14年の冬に苗を植え付けた。

 片岡さんのほか、府中丹西農業改良普及センターの職員からも指導を受け、試行錯誤して育てていたが、当初は木の育ちが悪かく、一定の大きさに育つまでは、気をもんだと振り返る。

 それからも協力しあって世話を続け、昨年にはメンバーで分配するほどの量が取れ、今年は約2千房が実った。2日に糖度を測ったところ、18度と上々。3年の歳月をかけ、ようやく販売に踏み切ることができた。

 ブドウの種類は「紫玉」「藤みのり」「ピオーネ」「シャインマスカット」「ブラックビート」など。戸田ぶどう園の隣にある直売所で、6日から販売する。場所は戸田橋(現在工事中)南の広域農道沿い。完熟した品種から順に並べる。10月上旬まで。

 6日は午前10時〜正午に販売。それ以降は毎週水曜日と日曜日の同じ時間に販売する。ただし、各日とも完売した段階で終了する。


写真上=苦労が実って大きく育ったブドウ
写真下=戸田ぶどう園のメンバーたち(前列左から2人目が福山代表、3人目が片岡さん)

    

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