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両丹日日新聞2017年7月27日のニュース

学校で言えない「分からない」が聞ける場

退職教員たちが子どもに寄り添う 京都府福知山市北本町二区の福天教育会館で週3回、元学校の先生たちがボランティアで子どもたちの宿題を見る会を夕方に開いている。退職教員らによる福知山教育センターの「宿題サポートセンター」。夏休み中も7月中に3回開設。元気な小学生たちが訪れ、問題を解いている。

■退職教員がボランティアで宿題サポートセンター■

 通ってくるのは小学校1年生から6年生までの24人。日によって参加人数は異なり、だいたい15人前後が顔を出す。指導するスタッフは10人。昨年まで教師だった人や退職後15年になる人まで様々だが、いずれも現役時代は教え方に工夫を重ねてきたベテランたちで、経験を生かして算数や国語、理科などの解き方、考え方を教えている。

 夏休み最初の21日。低学年の子たちが集まる会館2階の部屋のドアを開けると、人数以上のにぎやかさがあった。席を立って歩き出す子、隣に座る友だちと話をする子もいる。「う〜ん、分からへん」。机のプリントにあごを乗せる女の子に、指導員が声をかける。「そこはなあ」。答えを教えるのではなく、考え方のヒントを与える。「ああ、分かった!」。女の子は、鉛筆を走らせ始めた。

 3階の会議室は上級生たちが机を並べる。下級生たちの部屋と違って、みんな静かに鉛筆を運ぶ。多くの子が1年生の時からセンターに通い、学習する姿勢が身についているかららしい。6年生の女子は「学校だと先生がクラスみんなに教えなきゃいけないから時間が無さそうだけど、ここはゆっくり聞けるからいい」と話す。この子に誘われて4年生から通うようになった同級生も、「学校では、なんか、聞きにくい」という。「でも、ここは分かるまで聞ける。成績も上がった」とうなずく。

 センター長の大槻良夫さん(70)は「今の学校は先生が忙しすぎる。授業が終わったら児童と話もせず職員室へ駆け戻って用事をこなす」と、教育現場を思いやる。

■共働き家庭の学習支援にとスタート■

 サポートセンターがスタートしたのは2011年。共働きで親が宿題など家庭での学習を十分見られない子の支援を、というのが発端だった。当初は、家で集中して出来ない子、だらだらやってしまう子が多く、理解できていない点を教えようとしても「知っとる」「(教えて)いらん!」と拒絶したり、暴言を吐く子もいた。

 それが学校での出来事を聞いたりして会話を重ねるに従い、落ち着きを見せ、「ここが分からない」と尋ねてくるようになった。

 いま通って来る子たちは、当時とは様子が違ってきていて、分からないところを指導員に聞くことができる。センターが7年かけて築いてきた場の空気が、そうさせているという。

 「学校にはまだ、分かっていないのに言い出せず、分かったフリをしてニコニコしている子がいる」と、大槻センター長。分からないまま次の学習に進むと、更に分からなくなる。授業について行けなくなり、学校がおもしろくなくなる。そんな負の連鎖を断ち切ることが、教室に立つ現役教員たちへの支援にもつながる。

 「一番は子どもたちのため。そして、学校とも連携を取り、家庭、学校を応援していく」ことが願いだと、スタッフたちは話す。

 2学期は9月6日から。1カ月300円。問い合わせは福知山教育センター、電話0773(22)2134。


写真=退職教員たちが子どもに寄り添い、ヒントや考え方を教える(福天教育会館で)

    

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