京都府福知山市大江町の住民たちが主導し、まちの活性化を考える「大江まちづくり住民協議会」(新宮七郎会長)は、由良川の特産の一つ、テナガエビの養殖事業を計画している。養殖に成功している宮津市の京都府立海洋高校(矢野誓作校長)と手を組み、町内で育てる構想で、将来的には数を増やして、大江の特産品として広めていきたいと考えている。
テナガエビはカワエビとも呼ばれ、はさみの先端から尾までの長さは最大で雄が20センチ、雌が15センチ。福知山、舞鶴市内などの由良川にも生息し、5月から7月にかけて、かごなどの漁具を使ったエビ漁が行われている。素揚げなどにするとおいしい。
住民協議会では、地域の豊かな資源を生かしたまちづくりを進めており、今年度の事業計画には、川の恵みを生かした取り組みとして、地元の由良川でも捕れる人気のテナガエビの養殖を盛り込んでいた。
テナガエビ漁は大江でも行われているが、川の水が少なかったり濁ったりすると捕れない。そこで常に安定供給ができるよう、海洋高校に協力を求めた。同校は昨年人工ふ化から育てたテナガエビが産卵し、その卵をもとに再び人工ふ化を行う「完全養殖」に成功している。
協議会では地元漁師や国土交通省福知山河川国道事務所、由良川漁協、市商工会の関係者らで研究プロジェクトを立ち上げ、13日に同町河守の市役所大江支所で初めての会合を開いた。メンバー12人が養殖の場所や方法、開始時期などについて意見を出し合った。
テナガエビの養殖は非常に難しく、海洋高によると、全国でも非常にまれだという。卵から稚エビにするには海水が必要になるため、そこまでは同校が受け持ち、育てた稚エビを協議会に引き渡すことを考えている。
完全養殖を成し遂げた同校マリンバイオ部の顧問、横岡和典教諭(41)は「学校内のテナガエビの養殖施設が手狭なため、今回の協議会の養殖計画は、次のステップに進むきっかけになります」と喜ぶ。
新宮会長(67)は「テナガエビは大きくなると共食いすると言われているので、一定量を確保するのが課題となります。将来は多くの人たちがいつでも食べられるようにしたい。地元の土産物としても売り出していきます」と期待する。
写真上=海洋高マリンバイオ部の生徒たちが育てたテナガエビ(海洋高提供)
写真下=大江支所で開かれたプロジェクトの初会合。養殖の場所などについて話し合った
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