地元を走る列車を中心に鉄道模型電動カーを手作りする京都府福知山市正明寺の元JR社員、伊藤成光さん(73)が、6月17日から運行開始予定のJR西日本のクルーズトレイン「トワイライトエクスプレス・瑞風」の電動カーをほぼ完成させた。正月から製作を始め、合板やアルミ板を使って4カ月半かけてリアルに仕上げた。
瑞風は「走るホテル」をコンセプトに開発された客室、食堂車、展望車など10両編成からなる豪華列車。最大定員34人を乗せて山陰、山陽を運行する。
伊藤さんが瑞風を題材にしたのは、昨年の大みそかに、家族から「来年に話題になりそうな列車」として提案を受けたのがきっかけ。個性豊かなデザインで今までにない難しい挑戦になると最初はためらったが、「ダメもと」で作ってみようと決心。年が明けるとさっそく、作業に掛かった。
ほとんど毎日のように作業場に通い、何枚もの写真を頼りに、長さ約2・9メートル、高さ約1メートル、幅約80センチの先頭車2両と、先頭車より長さが1メートルほど短い中間車1両を完成させた。
先頭部分は、緩やかにカーブした手すりが付いた展望デッキの上に運転席のある複雑な構造で、苦心した。丸目のヘッドライト、ワイパー、連結器、ドアの手すりなど細部まで再現し、塗料の配合を繰り返し、深緑色に金色のエンブレムとラインを配した高級感を感じさせる外観に仕立てた。
車両それぞれに、再利用した電動車いすのモーターを積み、3両編成の場合、子どもなら20人以上乗せて走ることができる。展望デッキにも乗ることができる。
40歳のころからこれまでにJRの特急電車、北陸新幹線、京都丹後鉄道の車両など25種類以上を作った伊藤さん。新作は「背丈が高く、全体のバランスをとるのが難しく、今まで作った車両の倍の時間を費やしました。でも、上品で洗練された車両を表現できたと思います」と満面の笑み。「瑞風の旅はとてもぜいたくですが、ゴージャスな車内を一度見てみたい」と話していた。
本物は展望デッキの手すりが5本だが、模型では加工が難しかったため4本にしたという。
年々、鉄道模型電動車のイベントへの参加依頼が増えており、最近は月1回程度、市内外に出張している。瑞風も人気を集めそうだ。
写真=完成した瑞風の電動カー
【伊藤さんはこんな列車も】
・新型車両289系
・N700系新幹線
・SLのC62
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