死者・行方不明者が1万8千人以上という東日本大震災から11日で6年。京都府福知山市夜久野町旦の高野山真言宗・東光寺の大月康永住職(38)は、被災地の宮城県で3回目の追悼行脚を行い、犠牲者の冥福を祈り、一日も早い復興を願った。
東京消防庁世田谷消防署の特別救助隊員として働いた経験を持つ大月住職。テレビで大津波や壊滅的な被害を受けた現地の様子を見て心が痛み、当初は震災の日に合わせて、自坊で追悼法要を営んでいた。2014年と15年は住職になる際に一緒に修行を積んだ僧侶ら6人のグループで追悼行脚をした。
今回は9日から12日までの日程で、宇治市や和歌山、神奈川両県、宮城県石巻市の僧侶とともにレンタカーに祭壇や塔婆を積んで、多くの児童らが犠牲になった石巻市の大川小学校、雄勝病院跡、仮埋葬墓跡地などを回り、念仏の声を響かせた。これまでに訪れている場所が多く、地元の人から「今年も来ていただきありがとうございます」と声をかけられたという。
石巻市の海岸では、砂で護摩壇を作り、約3時間にわたって護摩供養をした。大月住職らが、津波が押し寄せた海に向かう形で犠牲者の名前を記した756本の護摩木を火に投げ入れ、亡くなった人の供養をした。
大月住職は「海の風は強く冷たく、護摩供養の間は終始、目や鼻、口に砂が入ってきました。ただ、こんなきれいな海が数多くの命をのみ込む凶器になったとはとても想像できないほどの好天に恵まれました。今も人々の心は癒やされているとは言いがたく、これからも追悼行脚を続けていきます」と話していた。
石巻市の被災地は、復興住宅が少しずつ建っている状態。道路や堤防は整備が進んでいるが、完成まではほど遠いという。
写真=津波が押し寄せた海に向かい、護摩供養する大月住職ら
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