京都府無形文化財、丹後二俣和紙の技法を守る福知山市大江町二俣の田中製紙工業所で、和紙の原料となるコウゾの天日干しが始まった。稲木に掛けられたコウゾが、寒風を受けてすだれのように揺れている。
大江山周辺では昔から紙漉きが盛んで、昭和初期まで200戸余りが手漉き和紙作りをしていたが、洋紙の普及などで操業者が減少。今では田中製紙だけとなった。
コウゾは工業所近くの畑を借りて栽培。皮の内側の繊維部分が原料となる。今季は昨シーズン並みの約2・5トンを収穫した。
約1・2メートルの長さに切り、木製の桶の中で蒸したあと皮をはぎ、高さ約5メートルの稲木に掛ける。2週間程度干す。
天日干し作業は毎年1月中ごろにするが、今季は雪が多く降るなど悪天候が続いたため、20日ほど遅くなった。3月中ごろまで作業が続く。
天日干しに適しているのは、天気が良く冷たい風が吹く気候で、初日の7日は大江山方面から強い寒風が吹き下ろし、コウゾを揺らした。
工業所5代目の田中敏弘さん(55)は「1年分の紙漉きの材料は確保できたので、ほっとしています。これから(天日干しができる)寒い日が続いてくれることを願っています」と話している。
写真=投げ渡されるコウゾの束を受け取り稲木に掛ける田中さん
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