9月の台風で倒れた京都府福知山市観音寺、高野山真言宗・観音寺のもみじの大木が、花台に生まれ変わった。当初、切断して廃棄される運命だったが、姿を変えて残り、再び寺で長い歴史を刻んでいく。
倒れた木は高さ約15メートル、直径約45センチ。樹齢は150〜200年で、本堂に続く石段そばの斜面にあった。秋には美しく色付き、観音寺の名木として参拝者に親しまれてきた。
倒れたのが分かったのは9月20日。台風16号による強い雨を受け、根元の土が水を含んで緩んだことなどが原因とみられる。安全確保のため、翌日から寺の役員らによって撤去が進められた。
工務店を営む檀家の森澤卓己さん(72)の主導で作業したが、チェーンソーで切っていくと、木に腐りは無く、生き生きとしていたことから、小籔実英住職(65)が「何とか違う形で残せないか」と森澤さんに相談。花台に再生してもらえるよう製作を依頼したところ、森澤さんも「これならいける」と、引き受けた。
何本かに分けて切った幹の材を製材所できれいに切ってもらい、しばらく乾燥させたあと、11月から森澤さんが皮をむき、かんなをかけた。もみじは堅い木のため、削りにくく手を焼いたというが、12月21日までに、長さ約1・3メートル、幅約45センチの長方形のものと丸太型の花台の計8点を作り上げた。
このほか約10点の花台も作り、他の檀家に贈った。出来上がった花台は約2年間乾燥が必要だが、庫裏の客間などに飾りながら乾かす。
森澤さんは「もみじは一般的に建築材には使えませんが、年輪が細かく立派な木です。削るのに苦労しましたが、何とか形に出来てよかったです」と話している。
小籔住職は「大変立派に仕上げてもらい本当にうれしい。これで倒れたもみじも報われます。これからは花台として長く生き続け、多くの人たちに見ていただければ」と願っている。
写真=完成した花台の出来を確かめる森澤さん(左)と小籔住職
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