イノシシにかまれ、後ろ足1本を無くした狩猟犬「ゴン」が、京都府福知山市内の飼い主の元で、別の猟犬の指導役にあたっている。3本足というハンディを負っているが、元気に山を走り回り、シカなどの追い方を“後輩”に教え、飼い主と強い絆で結ばれている。
飼い主は、一般社団法人府猟友会福知山支部長の下元照男さん(68)=さつきケ丘=。元自衛官で、2009年に狩猟免許を取り、猟や有害鳥獣駆除をしている。
猟で使う犬は飼っていなかったが、今年4月に狩猟用のビーグル(2歳)を知人の男性から譲り受けた。「龍馬」と名付けたこの犬は、山へ入ったことが少なく、シカなどを追う力がまだ未熟だったため、6月にこの男性から同じビーグルで、経験豊富な5歳の犬「ゴン」を指導用としてもらい受けた。
ゴンは人間の年齢でいうと40歳代で、脂の乗りきったころだが、右の後ろ足が付け根から無い。知人の男性に飼われ、兵庫県丹波市の山中で猟をしていた時、イノシシに足をかまれ、瀕死の重傷を負った。動物病院に連れて行ったが、足が壊死して命が危うくなる可能性があるとして切断せざるを得なかった。
ゴンが下元さんのところに来てからは、龍馬と一緒に自宅近くの山に出掛け、シカを追う練習を繰り返す。
3本足だが、急斜面も臆することなくバランスをうまく取って走り、龍馬に手本を見せる。走る速度が少し遅くなったため、走るのが苦手だった龍馬にとってはちょうど良いペースで、置いてきぼりにされずに、シカを追うコツを覚えていった。
ゴンはけがをしたせいか人懐っこく、下元さんと一緒の時は終始甘えたしぐさを見せる。龍馬とも仲が良く、夜はいつも寄り添って寝ている。
最近は龍馬の走る力が増し、ゴンより先に走ることも。11月15日に猟期に入ってからは実際に山に入り、連携した走りを見せている。
下元さんは「ゴンは本当にしっかりと龍馬に教えています。龍馬が、駆除の時も活躍できるよう、一人前になるまで、これからもゴンに指導をまかせたい」と話している。
写真=ゴン(左)と龍馬を見つめる下元さん
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