初冬に蝶が羽化−。国蝶・オオムラサキの飼育を長年続けている京都府福知山市厚中問屋町の大地洋次郎さん(75)方で28日、成虫1匹が誕生した。通常オオムラサキの羽化は6月初旬から7月中旬にかけて。大地さん宅で11月に成虫の姿が見られたのは初めてで、「なんでこんな寒い時期に?」と驚いている。
大地さんは20年以上前から、しっかりとした飼育小屋を自宅に設け、オオムラサキの飼育を続けている。毎年羽化した成虫は食草のエノキの葉に卵を産む。孵化した幼虫はそのまま越冬し、翌年5月中ごろにサナギになったあと成虫となる。
飼育小屋では今年も順調に多くの卵から幼虫が生まれたが、8月終わりごろに1匹だけ、他と比べて約2倍の大きさになっているのを見つけた。その後も成長し10月30日にサナギになった。
普通だと、サナギから16〜18日で蝶になることから、成虫の誕生をあきらめかけていたが、28日午前4時ごろ、ようやく羽化した。
誕生したのは雌で、羽を広げた大きさは12センチほどと普通のサイズ。大地さんは「長年飼育をしていますが、年に2回の羽化は初めてです。温暖化のせいでしょうか。この寒い中で羽化し、生命力の強さに驚いています」と言う。
■非常に珍しい現象■
日本鱗翅学会東海支部の江田信豊支部長(64)=南山大教授=によると、「ごくまれに年2回の羽化が自然界でも見られますが、非常に珍しい。今年は寒くなるのが遅くなったため、幼虫が成長の段階で勘違いし、越冬せずサナギになったのでは」とみる。
成虫だと1カ月半から2カ月ぐらい生きるが、大地さんは「これから寒さが増すので心配です。餌を与えて見守りたい」と話している。
また「興味のある人は見に来てほしい」と言う。問い合わせは大地さん、電話(22)9002へ。
写真=羽を広げるオオムラサキ
写真=幼虫の時は他と比べ成長が早く大きかった。下が通常の幼虫(10月8日に大地さん撮影)
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