有害鳥獣駆除で捕獲したシカを食肉にしている京都府福知山市夜久野町門垣の中島健太郎さん(41)が、シカ肉を使ったソーセージなどの加工食品の製造にも乗り出した。これまでから真空パックしたシカの冷凍生肉を府内外のフランス料理店など70店余りに出荷しており、加工食品が加わることで、スーパーなどへ販路が広がり、ジビエ料理の一般家庭などへの普及が期待できるという。
中島さんは地元企業を辞めて2001年に就農。栽培した米、黒豆などで和洋菓子を製造し、道の駅やJAなどに出荷している。しかし相次ぐ農作物のシカによる被害に「駆除するしか手段はない」と、捕獲に本腰を入れ、食資源として生かすため13年春、有限会社田舎暮らしを設立。自宅近くに食肉処理加工場を建て、シカを解体して冷凍し出荷を始めた。
シカ肉は、高たんぱく、低カロリーで、鉄分が多くヘルシーといわれる。中島さんは飲食店の厨房に立った経験があり、丁寧で効率よい血抜き処理を得意とする。冷凍生肉は真空低温調理でじっくりと柔らかく仕上げており、「臭みがなく、おいしい」と評価が高い。このため、販路が急速に開け、現在は市内だけでなく、京阪神や名古屋、東京などのフランス・イタリア料理店や居酒屋などに出荷している。
11月中旬には、府中丹西保健所から従来の食肉処理業、食肉販売業に加え、食肉製品製造業の許可が下りた。シカ肉のロースト、ソーセージ、ハンバーグ、ハムなどの製造を始め、東京や大阪での商談会でスーパーなどの業界にも売り込んでいる。
製品は色が濃いが、味にコクがあり、洋酒や日本酒にも合うという。シカは育った気候や風土によって味も変わるが、丹波で捕獲されたシカは質の良いシバグリなどを餌にしている。中島さんは「加工食品を販売できることになり、大きな前進。一般家庭でも手軽にジビエ料理を味わってもらえます」と自信をのぞかせる。
17日にオープンした京都市伏見区にあるジビエや京野菜の町家レストラン「むすびの」の経営にも参画。「将来は地元にシカ肉のフルコース料理を提供できる店を出店し、全国各地から集客を図り、地域活性化にも貢献したい」と意欲をみせる。
田舎暮らし社は電話0773(38)0553。
写真=シカ肉ソーセージなどの製品
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