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両丹日日新聞2016年11月16日のニュース

日本文化に欠かせぬ漆 再発見講演会

うるし講演会 漆工芸作家や職人、文化財を研究している人らが漆の里に集う「うえるかむまつり・うるし再発見」講演会(NPO法人丹波漆主催)が12日、京都府福知山市夜久野町で催された。講師4人がさまざまな角度から漆について語り、日本の生活と文化を支えてきた漆を守っていく必要性を再確認した。

 会場の額田、市夜久野ふれあいプラザでは、市と文化芸術振興協定を結ぶ京都美術工芸大学の2年生たちが、夜久野で取り組んだ漆の植栽地管理や精製実習についてポスター展示をし、来場者が興味深く見て回るうち、講演会が始まった。

 最初に登壇したのは、10月に丹波漆の作品展を開いた京都市の臨済宗建仁寺禅居庵の上松正明住職。漆芸家の三木啓樂さんと対談形式で「仏事と漆」について説明していった。

 建仁2年(1202)に開かれた歴史ある建仁寺では、建物や台、器など様々なものに漆が使われている。開山・栄西禅師の誕生を祝う降誕会や開山忌でも、茶器など漆器が欠かせない。また漆器は美しいだけでなく長く使えることから、生活の一つひとつが修行になっている若い僧たちの椀にも、漆が使われている。

 これら法要や日常の修行の場で実際に漆が使われている様子を上松住職が写真で見せながら、「料亭などでも樹脂製が使われるようになってきましたが、これからも建仁寺では漆器を使っていきたい」と話した。

 このほか、夜久野高原にある府緑化センターの小川享主任研究員が、植物としての漆の苗や木について話し、京都造形芸術大学の岡田文男教授が、縄文時代の遺跡から発掘された漆の塗膜を分析した結果を基に、漆に関する技術は古代日本が中国大陸よりも何千年も先を行っていたことなどを解説した。

 13日には、全国から参加した賛同者らが、漆の増産を願って日置、ふるさと文化財の森で苗木を植栽した。


写真=漆の器が使われている写真を見せながら法要を説明していく上松住職と三木さん

    

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