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両丹日日新聞2016年11月 1日のニュース

福知山から送った楽器、ソロモンの教室で響く

届いた楽器を無心に弾くソロモンの子どもたち 福知山の子どもたちが贈った楽器が海を渡った。今春小学校を卒業し、使わなくなった鍵盤ハーモニカとリコーダーが、南太平洋の島国・ソロモンの子たちに、この秋、プレゼントされた。初めて見る楽器に現地の子らは大喜び。さっそく学校で使われている。

■今春卒業児らがJICA通じて寄贈■

 ソロモンには、福知山市三和町高杉出身の教員、西山裕介さん(28)が昨年7月からJICA(国際協力機構)の青年海外協力隊員として派遣され、中学・高校、小学校で理科を中心に様々な授業を行っている。

 この日々の様子を、昨年10月から両丹日日新聞で「ソロモンに蒔く夢の種」のタイトルで月2回連載。現地の子たちの素朴なまなざし、日本に比べ教材などが乏しく教育環境が悪いにもかかわらず、ひたむきに学ぶ姿が関心を呼んでいる。

 こうした中で今年初め、福知山の小学校の先生たちから「使わなくなる楽器を、ソロモンの子たちに贈ろう」との声が上がり、卒業を控えた6年生たちに呼びかけたところ、多くの家庭から楽器が提供された。

 以前に卒業した子の分も含め、鍵盤ハーモニカが天津小17台、庵我小14台、菟原小10台。成仁、惇明、夜久野小学校からも各1台あった。リコーダーは夜久野、成仁各3本、上豊富、惇明各1本。合計53点が寄せられた。

 西山さんの実家に集められた後、年2回のJICAの便で発送されることになり、秋になってソロモンに届いた。

■夢中になって吹き続ける子どもたち■

 大きな段ボール箱の荷物が運び込まれた日。小学校では、何が入っているのかは分からないけれど、自分たちの知らない「とんでもないもの」が来たことを察して、子どもたちが次々と職員室に集まってきた。しきりに「何が入っているの?」と質問。西山さんが楽器だと答えると、満面の笑みが広がり、早く見てみたい、触ってみたいと、みんな体をウズウズさせていたという。

 鍵盤ハーモニカを初めてお披露目した時は、ホースを取り付けて息を吹き込み、鍵盤を押すと音が鳴ると伝えたとたん、教室中に音があふれた。大きく吸い込んだ空気を思いっきり吹き込み、顔を真っ赤にしながら弾き続ける子どもたち。「2時間も3時間も夢中になって吹いていました。寄贈していただいて本当に良かった。現地のためになっています」と、西山さんは感謝する。

 日本語で名前、音階が書かれた楽器をソロモンの子たちが使っている光景を見て、「音楽は国や言葉を超えてつながることができる。二つの国がつながっていることが実感できます」とも話す。

 いま、毎週月曜と木曜の放課後に、低学年を中心に校長を含め小学校の多くの先生たちで指導を行っている。土曜日の午前中には西山さんも個人的に子どもたちを集め、日本の童謡などを、自主教材を作って教えている。

 みんな使った後は、ホースの水洗いなど、大事に、大事に後片付けをしているといい、「未知のものに触れるという経験は視野を広げます。また楽器で指を使うことは脳を活性化させることにもつながり、いまのソロモンの子たちにとって、どれもとても大切なことです。福知山のみなさんのご協力があればこそ。ありがたいことです」と話している。


写真=届いた楽器を無心に弾くソロモンの子どもたち。ケースには福知山の子の名前が残っている

    

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