京都府福知山市夜久野町下千原の左官業、衣川恒男さん(76)が、地元の府道談夜久野線沿いの畑に、手作りした大仏を建立した。交通安全の願いを込めたもので、ゆずり峠に差し掛かる場所にあたるため“ゆずり大仏”と命名した。
■左官の腕を生かして夜久野の衣川さん■
府道談夜久野線は、談の国道429号と夜久野町日置の国道9号を結び、延長11・3キロある。2002年秋に下戸と夜久野町下千原間の峠にトンネル(延長455メートル)が開通し、さらに、12年春には全線で拡幅などの改良工事を終えた。
15歳のころから父の跡を継いで左官業を続けている衣川さんは、この道路を頻繁に利用する。トンネルができて以来、交通量が増え、猛スピードで走り抜ける自動車もあることから、交通事故が心配で、「ドライバーに交通安全を啓発できるものを作ろう」と、計画を温めていた。
「小さなお地蔵さんではドライバーの目を引かない」と、鎌倉大仏のミニ版を作ることに決め、9月中旬から、所有する畑の中にある小屋で作業。軸にする鉄骨に金網を張って成形し、周りにセメントを3度塗り重ねて仕上げた。
本体の高さは約1・3メートル、幅約80センチ、重さが約100キロあるため、知人に頼んでフォークリフトで小屋から運び出し、高さ約80センチの台座部分に10月8日に据え付けた。「シートベルト着用」と記したタスキを掛け、大仏の前には「交通安全」と書いたプレートを置いた。近く魂入れをする予定。
衣川さんは「鎌倉大仏の写真を参考に仕上げました。穏やかな表情を表現するのが一番難しかった。大仏の前には車を止めるスペースもあり、手を合わせていく人もおられます」と喜ぶ。
通りかかった下千原に住む千原老人会・千原長生会長の足立浩三さん(80)は「以前から計画を聞いており、完成する日を楽しみにしていました。立派な出来栄えで、ドライバーだけでなく、地元住民の交通安全に対する意識の高揚につながればうれしい」と話していた。
写真=府道沿いに建てた手作りの大仏と衣川さん
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