京都府福知山市夜久野町才谷の田んぼ脇に、水の力を利用して、てこの原理で米や雑穀を精製するための小型の「唐臼(からうす)小屋」が置いてある。近くに住む中島尚之さん(80)が製作。実際に水を引き、精米などができるようになっていて、道行く人たちが珍しそうに眺めている。
中島さんはこれまでから本業の建築業の合間を縫って、依頼を受けて水車小屋を製作。唐臼小屋も造ってきた。
今では珍しくなり、どこでも注目を集めることから、「大勢の人に見に来てもらい、地域の活性化につながれば」と、5月ごろから作業を始め、約2カ月かけて完成させた。
小屋は幅約1メートル、奥行き約60センチ、高さ約80センチ。骨組みは木材で、屋根部分はわらぶき、ひさしにはススキの穂を敷き、外壁は杉皮を貼っている。
近くを流れる川の上流から小屋のそばまでホースでひいた水を、てこの先に着けた器に流し、たまる水の重さを利用して、小屋内の杵が上下に動き、臼の中の米などをつく仕掛け。水をためる部分が勢いよく倒れる様から、「バッタリ小屋」とも呼ばれている。
■地元を愛した義母の供養にと製作■
小屋を作ろうと思ったきっかけは、今年1月に同居していた義母が亡くなったこと。義母が若い頃は唐臼小屋が各地で活躍していたほか、地元を大事に思っていた人だったことから、供養になると思い立ってのことだった。
小屋のそばには義母に似せて作ったかかしを取り付け、小屋や義母のことを詠んだ川柳「水唐臼(バタリ)小屋 老母の背なに 杵の音」を木板に記して掲示している。
水を流す時間は毎日午前7時から午後7時ごろまで。小屋は今月中ごろまで設置しておく予定にしている。
中島さんは「しばらく唐臼小屋は造っていませんでしたが、体に造り方が染みついていたので、何とか完成させることができました。水の力で動く仕掛けを多くの人たちに知ってもらえれば」と話している。
写真=精巧に造った唐臼小屋を眺める中島さん
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