兵庫県朝来市の埋蔵文化財センター「古代あさご館」の開館10周年記念事業として、23日午後1時30分から、あさご・ささゆりホール(朝来市新井、市役所朝来庁舎横)で特別講演が開かれる。講師は出雲大社の権宮司、千家和比古さん。「翼あるモノたち−儀礼における、人と鳥のストーリー」と題して話す。無料。
古代あさご館では9月25日まで特別展「鳥と翔ける王」を開いている。和田山町平野にある但馬最大の前方後円墳「池田古墳」の出土資料を一斉公開しており、池田古墳と出雲大社が「鳥」をキーワードにむすびついていることから、千家さんを迎えて話を聞くことになった。
池田古墳からは全国最多、30体の水鳥形埴輪が出土した。古墳構造物の中で祭礼の場とされる「造出」から多く出土したため、祭礼に伴うものだと考えられている。
世界の各地で、古くから鳥は現世と常世を結ぶ存在とされ、神官や巫女が鳥の姿をすることがある。古来日本でも神事に鳥の装束をまとうことがあり、その典型として出雲大社の「古伝新嘗祭」がある。11月23日の夜に、灯明の薄明かりの中で行われる重要な祭事で、後半には神職が榊の小枝を両手に捧げ持ち、神歌に合わせて「百番の舞」を舞う。講師の千家さんも、宮司と共にこの祭礼を司っている。
千家家は出雲大社の宮司職を代々継いできた家系で「出雲国造家」とも呼ばれている。和比古さんは八十四代宮司、千家尊祐さんの弟。國學院大学大学院で日本史学考古学を専攻し、一時は教壇に立っていた。歴史や神話、伝統文化の研究にも力を入れ、各地を精力的に訪ねている。講演会では、出雲大社を守りつつ古代史を研究してきた視点を通して、池田古墳と出土品の意義を考え、但馬を治めた王の姿に迫る。
講演会場は駐車場が限られるため乗り合わせでの来場を呼びかけている。一方、展示会場の古代あさご館は山東町大月、北近畿豊岡自動車道山東パーキングエリア(道の駅但馬のまほろば)にある。開館時間は午前9時から午後5時までで、月曜休館。特別観覧料100円(中学生以下、65歳以上無料)。一般展示室の観覧は無料。問い合わせは、電話079(670)7330。
写真=池田古墳出土の水鳥形埴輪(兵庫県立考古博物館提供)
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