リオ五輪・パラリンピックの開幕が近づくにつれ、障害者スポーツに関心が高まっている。そんな中、障害の有無にかかわらずにできるスポーツ「卓球バレー」に打ち込む人たちが京都府福知山市内にいる。市身体障害者団体連合会所属のチーム「がんばろう会」(塩見弘会長)。障害者、健常者の垣根なく、みんなで盛り上がれることがうれしく、楽しいという。
1チーム6人でいす(車いす可)に座って卓球台を囲み、小さな金属の重りを入れて転がりやすくしたピンポン玉を7センチ×30センチの板状のラケットを使って相手コートに3打以内で打ち返す。卓球とバレーボールを足して割ったような競技内容から卓球バレーと名付けられた。
発祥の地は京都。40年ほど前に、車いすの子どもたちが通う京都市右京区の市立鳴滝養護学校(現総合支援学校)で、卓球台でピンポン玉を転がして遊んでいる様子を見た教諭たちがルールを作り大会を開いたことが始まり。その後、日本卓球バレー連盟が誕生するなど規模を拡大し、競技人口が広がっていった。
がんばろう会は1985年ごろに発足。現在の会員は肢体、内部、聴覚の各障害者と健常者のボランティアで22人。毎週土曜日に内記二丁目の市総合福祉会館訓練室で練習している。合言葉は「障害の区別なく心を一つにプレー」。
■試合は本気 負けると悔しい■
がんばろう会が出場する京都大会が毎年2、6、10月にある。試合に勝つ達成感は大きい。
丹波大会では優勝常連のがんばろう会だが、京都大会での直近6年の最高成績は3位決定戦敗退。強豪ぞろいの京都市内チームの壁は高い。「1点差で負けたこともある。悔しい」とリベンジに燃える。
反則は、1人がボールに連続して2回以上ふれるドリブル、タッチネット、コート上でボールがプレーヤーの体にあたるボディボールなどがある。
高さ6センチ弱のネットの下をくぐらせて強いボールを相手に打ち込むことが勝利の秘訣だが、これがなかなか難しい。力むとボールが浮いてネットに当たる。ネット際にいる相手前衛のブロックをかわしながら強打を放つ必要があり、コントロールも大切だ。
実際にプレーをすると卓球台が目線の高さで水平に近くなり、ピンポン玉の体感速度は想像以上に速い。相手の玉を受ける機会が多い後衛4人のレシーバー(サーバー)が縁の下の力持ち。アタッカーが打ちやすいトスも重要になる。
チーム6人で力を合わせて「ナイスブロック」「今のいいよ!」と、自然と掛け声が起こる。
■年齢?障害? 関係ないよ■
会員たちの障害はそれぞれ違う。年齢も50歳代〜80歳代とバラバラ。しかし、それがプレーに影響するということはあまり感じない。
健常者会員は「障害のある人のほうがうまい」と目を丸くする。障害者会員は「京都市内には足でプレーする人がいる。その人に比べたら私たちなんかまだまだ」と奮い立つ。年齢や障害は関係ない。
近隣の舞鶴市障害者卓球バレー同好会「ひまわりチーム」とは、交流大会を交互に主催して9年目の仲。今年はがんばろう会が当番になって5月に開いた。
毎週土曜日の練習日。訓練室がにぎわう。大会には全員が参加できるように複数チームを出す。
塩見会長は「試合で戦うだいご味はもちろんあるよ。でもね、みんなで楽しめる。やっぱりこれが一番なんだよね」と目を細める。会員たちも「その通り」と一様にうなずいた。
写真上=高さ6センチ弱のネットにひっかからないように鋭いアタック
写真下=転がりやすいようにピンポン玉の中に小さな金属の重りを入れる
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