日本の漆器や寺社建築などを支える丹波漆を採取する、京都府無形文化財「丹波の漆掻き」が、1日から福知山市夜久野町内で始まった。技術を伝承しているNPO法人丹波漆の岡本嘉明理事長らが板生の山中に入り、木にシーズン最初の鎌をあてる初鎌をした。
今年の採取地は9年前に35本を植栽した山腹。このうち育ちの良い9本を選んで漆を掻くことにしていて、清水と菓子を供えて山に感謝し、木に手を合わせてから刃物類を取り出した。
最初の1本は幹周り約40センチ。新人、吉川枝里香さんの研修用に選んだ。
北海道出身の吉川さんは、京都伝統工芸大学校(南丹市園部町)で漆芸を学び、現地研修で夜久野へ足を運ぶうち、「国産漆を守らなければ」との思いを強くして、市地域おこし協力隊の隊員に応募。4月から夜久野に着任して活動をしている。
漆掻きについて一通りの知識は持っていたが、実際に木を受け持って採取していくにあたって、改めて岡本さんから作業の手ほどきを受けた。
岡本さんは専用の鎌で表皮を削り、専用のかんなで木に傷を付ける場所の選び方、力加減など、現場の知識を伝授した。
見守りに来た土地所有者の柴山啓一さんは「新たに若い人へ技術が伝わり、伝統文化が守られていきます」と喜んでいた。
漆掻き作業は9月末まで行い、1本あたり300グラムほどの採取を見込む。
写真=岡本さん(左)から漆掻きを教わる吉川さん(1日午前8時ごろ)
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