いろんな鉄道模型電動車を作っている京都府福知山市正明寺の元JR社員、伊藤成光さん(73)が、特急電車381系の電動車を完成させた。昨秋までJR福知山線などで、国鉄色の特急電車として全国で唯一定期運行されていたもので、引退を惜しむ声が強かった。このため、クリーム色をベースに赤い帯が入った風格ある姿を模型でよみがえらせたいと製作した。
鉄道模型電動車作りは40歳のころからの趣味。これまでにJRの特急電車や京都丹後鉄道の車両、北陸新幹線、SLなど約25種類を完成させた。ほとんどが廃材利用で、モーターを動力源に子らを乗せて走ることができるのが特徴。各地のイベントで活躍している。
国鉄色の381系は、鉄道マンとして40年近く歩んだ伊藤さんにとっても思い入れが強い。「半世紀の歴史があり、温かみのあるいい色でした。ファンが多く、どうしても作りたかった」と、製作の動機を語る。
約2カ月前から写真を参考にしながら地道に作業。FRP(強化プラスチック)ボードを加工して長さ2・5メートル、高さ70センチ、幅80センチの先頭車と中間車の車体を作り、さらに先頭車には高さ20センチの運転席部分を鉄板で成形して取り付けた。運転席の窓枠はアルミサッシを使って強度をもたせ、ヘッドライトや警笛、ワイパー、ドアの手すりなど細部まで再現した。
先頭車、中間車それぞれに積むモーターは、電動の車いすのものを再利用し、速度も微調整ができる。2両に大人、子ども合わせて10人前後乗ることができる。
車いすのまま乗れる中間車1両の製作も進めており、3両編成で走れるようにするという。
伊藤さんは「本物に近い形状に仕上げるため、先頭車の運転席に丸みを持たせるのに苦労しました。国鉄色を出すために塗料の調合にも時間がかかりました。子どもたちや鉄道ファンの方に喜んでいただければうれしい」と話していた。
写真=完成した381系と伊藤さん。後ろは現在活躍中の287系と289系
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