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両丹日日新聞2015年11月23日のニュース

グンゼ創業者・波多野夫妻を連ドラに 綾部市と商議所が運動

波多野鶴吉さんと妻のはつさん 福知山の発展にも大きくかかわってきたグンゼの創業者、波多野鶴吉さんと妻はなさんを、NHK朝の連続テレビ小説にと、綾部市が誘致活動を始めた。全国で署名活動を展開していて、グンゼスクエアや市役所などでも用紙を置いて署名を受け付けている。

 波多野さんは安政5年(1858)に何鹿郡中筋村延、現在の綾部市延町に羽室家の次男として生まれた。慶応2年(1866)に波多野家へ養子に入り、明治8年(1875)に養家の娘はなと結婚。書店や塾、製塩業など次々と事業に手を出すが、ことごとく失敗した。

 養家の資産を食いつぶして明治14年に中筋村へ帰郷。教職に就く傍ら、蚕業に関心を持つようになり、19年に何鹿郡蚕糸業組合を設立して初代組合長となる。

 しかし当時の京都府産の蚕糸は質が悪く、品評会で酷評されたことに発奮。地域の人たちに呼びかけて品質向上に打ち込み、やがて郡民から1株ずつの出資を集めて「郡是」を創立(29年)。以後、飛躍的に会社を成長させ、綾部にとどまらず日本の産業発展に大きな貢献をしていった。

 「善い人が良い糸をつくり、信用される人が信用される糸をつくる」との信念のもと、「人間尊重」「優良品の提供」「共存共栄」を掲げ、工場に学校を設けて社員の読み書きそろばん、そして何より道徳教育に力を入れるなど、時代に先駆けた取り組みを進めてきた波多野さん。苦難の日々を支えたのは、はなさんだった。

 結婚当初の事業失敗で自暴自棄になって放蕩を続けた鶴吉さんを見捨てず、郡是を起こしてからも工場の中の長屋に住んでモンペ姿で働き通した。

 商工会議所や市などで組織する連ドラ誘致推進協議会は、「二人の生涯を紹介することは、経済至上主義や個人主義が主流となった現代社会に大きな一石を投じることになる」と力を込める。

 署名活動は今月いっぱい取り組む予定で、市内各組織のほか、ゆかりの人たちを通じて全国で賛同を集めている。署名用紙はグンゼ博物苑などがあるグンゼスクエア(綾部市青野町)、市役所、観光案内所(綾部駅)、ITビル(商工会議所)にもある。

 問い合わせは事務局の綾部商工会議所、電話0773(42)0701、市観光交流課、電話(42)3280。


写真=グンゼ創業者で波乱の人生を歩んだ波多野鶴吉さんと妻のはつさん(誘致推進協提供

    

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