穏やかな天候の連休となった11、12両日、福知山市内の各地で秋祭りが催された。上野条の御勝(みかつ)八幡宮では12日に、25年に一度の御勝大祭が行われ、市内外から2千人以上が訪れ、奉納された田楽や舞、太鼓などに見入っていた。
御勝大祭は、大江山の鬼を退治した平安時代の武将・源頼光一行が、御勝八幡宮で戦勝祈願したという伝承に基づく祭りで、寛政11年(1799)以降の古文書に記述が残っており、古くから守り継がれてきたことが分かる。
少子高齢化と過疎が急速に進んだこともあって、開催を危ぶむ声もあったが、「地域活性化のために」と住民らが団結。一丸となって準備を進め、本番を迎えた。
午前中は神輿(みこし)渡御が行われ、午後からは式典などのあと、府登録無形民族文化財の紫宸殿(ししんでん)田楽を奉納した。頼光一行が本懐を遂げた感謝の印にと、宮中で演じられていた田楽を神社に奉納したことが由来とされている。
札状の板88枚をつづり合わせた「ビンザサラ」を持つ踊り手、笛と太鼓、前立と称する甲冑武者、山伏の計18人で構成。「烏飛(からすとび)踊」「振袖踊」など全12曲あり、本殿前と舞堂に分けて奉納した。
踊り手らは藍染めの衣装をまとい、笛と太鼓の音色に合わせ、ゆったりとした動きの厳かな舞いを披露。奉納が終わると、大きな拍手が送られた。
また紫宸殿田楽と同様、鬼退治に由来する天座田楽のほか、流鏑馬(やぶさめ)、愛宕神社三岳練り込み太鼓などの奉納も。小、中学生や高校生が舞や太鼓のたたき手として登場する場面もあり、祭りを盛り上げていた。
大阪市旭区から訪れた小西克典さん(19)は「父の実家が上野条にあり、父が踊り手として参加しているので、見に来ました。しっかりと目に焼き付けておきたい」と話していた。
また筈巻の浦岡道直さん(71)は、妻の真由美さん(66)とやって来た。「とても盛大な祭りで、地元の人たちの努力が見える。来てよかったです」と喜んでいた。
写真=本殿前で奉納された紫宸殿田楽
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