全国で唯一、JR西日本福知山支社管内で定期運行されている旧国鉄色の特急列車、381系車両が10月30日で姿を消す。代わって翌日から、白を基調にした新型車両289系が投入される。「381系は昭和の一時代を刻んだ車両で、国鉄色は風格があった」と引退を惜しむ声が強く、沿線や福知山駅などには連日、各地から鉄道ファンが写真撮影に訪れている。
■381系が10月末で定期運行終える■
381系は、アルミニウム合金で軽量化を図り、振り子の原理で車体を傾け、カーブ区間でも高速で走行できるのが特徴。国内初の「振り子式特急」として注目された。
クリーム色をベースに赤いラインが引かれた旧国鉄色で、福知山支社管内では「こうのとり」「きのさき」「はしだて」に利用されているが、製造後40年近くが過ぎて老朽化が進んでいた。
新たに導入するのは、北陸新幹線が開業した今春まで、特急「しらさぎ」(名古屋−富山間)に使われていた旧683系。塗装や一部の装備を変更し、289系に型式変更する。
381系と違い、客室設備として洋式トイレ、小便所、車いす対応トイレを設け、各車両の最前後部の壁にコンセントを設けている。
JR福知山駅では、381系が一日に上下合わせて24本止まる。午前10時40分台には、福知山、山陰両線のホームに3編成が同時に見られることから、写真撮影に来る鉄道ファンが多い。
福知山線を走る旧国鉄色381系「こうのとり」をビデオ撮影するために追いかけている兵庫県尼崎市の自営業、牧野敏文さん(45)は「シルバーウイークに福知山駅に来ましたが、ホームに約50人ものファンが詰めかけていて、撮影できる状態ではありませんでした。きょうはリベンジです。引退するのは残念で、雄姿を記録しておきたい」と3台の機器で熱心に撮影していた。
京都市の会社員、石田一郎さん(43)は中学校時代からの“撮り鉄”。「ディーゼル時代を含めて、国鉄色の特急はちょっと背伸びしないと乗れない憧れの存在でした。今は唯一残る旧国鉄色特急で、昔からの配色は味わい深いです。廃車されるのはとても寂しい」と残念がっていた。
10月31日からは、福知山支社管内を走る特急すべてが、1987年のJR発足以降に製造された車両となる。11年に導入された新型車両287系と、投入される289系の2種類の体制になる。
JR福知山駅では30日に「ありがとう381系(仮称)」と題したラストランセレモニー、31日には289系運用開始イベントが計画されている。
写真=3編成の381系が並ぶJR福知山駅(28日撮影)
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