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両丹日日新聞2015年8月16日のニュース

「魔法みたい」 盆栽の魅力を世界発信するカナダ人男性

デイヴィッド・ジョルダンさん 日本の伝統文化「盆栽」が世界的に注目を集める中、福知山盆栽愛好会(塩見重信会長)にも新風が吹いている。4年ほど前にカナダ人男性が入会した。70歳代以上の会員ばかりの中で、たった一人の若手。この男性は一体どんな人なのか。盆栽にかける思いにふれた。

 福知山市夕陽が丘のデイヴィッド・ジョルダンさん(34)は、英会話教室の講師をしながら、盆栽の魅力を発信する活動を続けている。海外の盆栽雑誌に連載を続け、全日本小品盆栽協会では翻訳もしており、思いの深さがうかがえる。

 8月で来日して9年が経つ。生まれ育ったカナダは、緑豊かで、自然に囲まれた環境が好きだった。福知山に来た当初は市街地に住んでいたため、緑が恋しかったという。

 盆栽に興味を持ち始めたのは7年前。猪崎、三段池公園の市植物園に展示されている作品を見て、「どうやってこうなるの? 魔法みたい」と心を奪われた。

 その後、遊び感覚でやり始め、雑誌などを見て勉強していくうちに、だんだんと夢中になっていった。

■「同じものができない」のが楽しい■

 始めたころは、すぐ枯らしてしまうことが多かった。ホームセンターで買った5千円ほどのものを何度も駄目にしたが、「頑張ろう」と試行錯誤を重ねた。

 「生き物なので、同じように世話をしても、同じものができない」のが魅力という。庭のコレクションの中には、種から育てたものもある。義母からもらった五葉松も大切に育てている。今では数えきれないほど世話をしており、鉢が増えすぎると知人にプレゼントしている。

 たまに5歳の娘や2歳の息子が水やりなどを手伝ってくれる。「完璧主義者なので、増えすぎると世話がストレスになることもあります」と笑うが、小品を手入れをする表情はとても穏やかだ。

■取材通じて知識、人脈ともに広がる■
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 2011年からはフランスの雑誌「esprit Bonsai(エスプリ ボンサイ)」に連載をしている。

 きっかけは、香川県高松市であった大会を家族で見に行ったことだった。初めてプロとして活動している人に出会い、刺激を受けた。また、500人近くの外国人が集まる会にも参加し、興味を持っている人が増えていることを知った。

 「今が、盆栽の魅力を発信するチャンスかもしれない」と思い立ち、雑誌を発行している世界中の会社へ、記事を掲載できないかと聞いてまわった。

 この中からフランスの雑誌への連載が決まり、2カ月に1回のペースで6〜12ページほどを書いている。

 プロに取材し、写真も撮る。全て自分の手で記事にしている。取材を通じて、切り方や見せ方など学べるところが多く、人脈も広がるため、「良いことばかりです」と笑顔を見せる。

■若い人も目を向けてみて■

 勉強してきたかいがあり、今では良しあしも分かってきた。「でも、とにかく勉強する姿勢が大事。センスは長くやっていたら出てくると思う」

 高価なものになると大変だが、「決してお金持ちだけの趣味じゃない」。大会では見学もできるし、盆栽をつくるための種も配る。それだけでも楽しめるという。

 世界的には20−30歳代の若い世代にも広がりつつあるが、日本では高齢化が進む。「若い人に興味を持ってほしい」と願う。

 そのためには「これをやったらいけない」という考えではなく、新しい表現方法を求めることも大切だと思っている。

 「アート的な作品がもっと出てきたらおもしろくなる。未来が広がると思います」

 日本に来て、興味深いことがいっぱいあった。楽しめる趣味もいろいろ見つけた。

 でも今は、盆栽に夢中だ。

 盆栽愛好会の塩見会長(87)=中=は「デイヴィッドさんは盆栽に熱心で、若い外国の方に関心を持ってもらえてうれしい。幅広い活動を通じて国際的に盆栽が広がってくれればと大いに期待しています」と話す。


写真上=盆栽を愛するデイヴィッドさんと連載をしているフランスの雑誌
写真下=手入れをする手つきは慣れたもの

    

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