かつて質の高い両丹茶の産地だった福知山市夜久野町西垣で、住民たちが「西垣の魅力再発見実行委員会」をつくり、耕作放棄された荒廃茶園の再生に取り組んでいる。活動3年目となる今年は、23、24両日にイベントを開き地域を盛り上げる。
山間部にある西垣地区には、現在23世帯、82人が暮らす。以前は計10ヘクタール余りの茶園があり、ほとんどの家が茶を栽培、出荷していたが、年々減り、近年は3世帯が主に自家消費用に細々と世話するだけになっていた。
そこで2013年2月に荒廃茶園の再生を決め、京都府の「ふるさと保全活動」補助を受けて自治会、老人会、子ども会、女性の会・すみれ会などの関係者で実行委(中島正泰委員長、23人)を結成した。
メンバーが協力して、山間部や民家近くにある4カ所の茶園計1ヘクタール近くを対象に、下草刈りやせんてい、行き来する道作りをするなどし、活動の舞台を1年がかりで整えた。
代々茶生産を続けてきた老人会員から栽培技術を学び、都市住民を迎えての茶摘みイベントも催し、世代間・農村都市交流につなげている。
栽培を辞めて間がない茶園が多かったため、大半が2年目から茶摘みができるようになり、昨年のイベントでは30キロ余りの茶葉を収穫。製茶後、参加者や地元の全世帯に配った。その後も実行委がこまめに世話を続けており、順調に育っている。
■摘み取り体験や新茶の試飲など23、24日に催し■
今年のイベントには、京都府南部の子どもたちや近隣市町のAET(英語指導助手)、親交のある名古屋大学生、地元の人ら約80人が参加する予定。23日は午後1時30分から茶摘みをし、同7時30分から地元公民館で、京都市を拠点に活動する沖縄三線の「鴨三グループ」の演奏会を開く。
24日は午前10時から開会式をしたあと茶摘みをし、昼食で鹿肉カレー、山菜の天ぷら、ホンモロコのフライなど地元食材を使った料理を提供。このあと、手もみ製茶をし、香り高い茶を試飲する。今年は60キロ以上の収穫をめざしており、製茶後、参加者に送る。サツマイモの苗挿しもする予定。
実行委の中島千弘さん(71)と中島頼孝さん(68)さんは「町内唯一の製茶工場も昨年操業を停止し、茶摘みの光景を見る機会が減りました」と寂しがりつつも、「茶の生産・加工過程を知ることは、手間を知り、物の大切さや生活の知恵を知る貴重な場になります。初めて見る茶園や自分で製茶した茶の味に感動する人も多い。地域活性化のため、来年以降もイベントを続けていきたい」と意欲を見せる。
写真=再生され、良い枝ぶりになっている山間部の茶園
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