2年連続の水害で浸水被害にあった福知山市蛇ケ端、福知山城周辺にぎわい創出施設・ゆらのガーデンが、5月1日に営業を再開する。撤退した4店舗の後に入った新規店を含む全7店舗が、多くの人に親しまれる中心的な存在の「福知山のランドマーク」を目指して、再び歩み出す。
ゆらのガーデンは、国の認定を受けた市中心市街地活性化基本計画の皮切りとなる事業として、市民プール跡地約8400平方メートルの市有地を生かして12年4月にオープン。城の下に広がる個性的な店と自然の風景を生かしたナチュラルガーデンの融合で、福知山の新たな観光・交流拠点へと成長し、年間20万人以上、一昨年夏までに計約51万人を集客するまでになった。
しかし、一昨年秋の台風18号で4店舗が浸水。昨年の8月豪雨では全店舗が水につかり、4店舗が撤退を余儀なくされた。
運営再開に向けて、運営管理をする福知山まちづくり会社が新たに出店者を募り、応募があった7件の中から選定した。
■飲食中心の出店夜の営業も多く■
新たに出店するのは、いずれも市内に店舗を構え、経営者が30〜40歳代の若手。京都産の肉、自家製ハム、ハンバーグなどの「焼肉ゆらの」▽トルコなど中近東、南米の雑貨とカフェの「Casa Oriente Mercado(カサ オリエンテ メルカド)」▽新鮮海鮮など自慢の和食を提供する「和ダイニング 善ノ助」▽手作り揚げぱん専門店、夜は串揚げも扱う「age bun bun(アゲバンバン)」。
ここに既存飲食店の「カフェ マサグラン」と「偃月 めかしえび」、雑貨・洋服のセレクトショップ「Crouka(クローカ)」を加えた計7店舗が営業する。
以前にあった洋菓子店、花店などが撤退して、飲食店が中心の装いになる。これまでは午後7時以降の営業が1、2店舗だったが、これからは5店舗が午後10時〜11時まで営業して、夜も楽しめるゆらのガーデンへと変わる。
マサグランを経営する出店者協議会の家田哲士会長(44)は「2年連続の被災は正直、心が折れそうになりましたが、新たな仲間も加わりました。ここで頑張るんだと、みんなで誓いました。観光客にも、地元のみなさんにも愛される福知山のランドマークにと、前を向いて進みたい」と力を込める。
5月1日は、午前9時30分から営業再開の式典をして、全店舗が午前10時30分に一斉オープンする。
■まちづくり会社が防水対策の改修■
ゆらのガーデンの店舗は、地面の高さが駐車場よりも約1メートル高い旧市民プールと同じレベルにある。過去には横を流れる法川が枯れ葉や材木がつまることで越水して駐車場が冠水したことがあったが、一過性のことで、施設は浸水しないとの見方だった。
しかし、一昨年の台風は由良川全域で水が増え、福知山観測所で過去最大水位の8・3メートルに達し、支流の法川から本流に水を送る排水ポンプを止めざるを得ない状況になった。行き場を失った水は、ゆらのガーデンへと流れ込んだ。
昨夏の8月豪雨は、上流から押し寄せてあふれた大量の水に、ゆらのガーデンを含む一帯がのみ込まれた。店舗は1・5メートル〜2メートル浸水した。
まちづくり会社は出店者の理解を得て、全店舗の床を無垢材からコンクリートに代え、内壁も水に強い素材に切り替えて改修した。仮にまた水についた場合は、洗い流してすぐに消毒できる。まちづくり会社も出店者も、ゆらのガーデン再興にかける。
まちづくり会社の足立秀明常務は「(ゆらのガーデンは)中心市街地の核となるもので、つぶすわけにはいかない。出店者のみなさんが頑張るといってくれているので、私たちも一緒に頑張りたい。府、市にも治水対策をお願いしたい」と話した。
写真=来月1日に新規4店を含む全7店舗で営業を再開するゆらのガーデン
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