24日の由良川水難事故で亡くなった2年生男子生徒(13)が通っていた福知山市立日新中学校(575人)で26日、全校集会が開かれた。早すぎる死を悼み、冥福を祈り、教師たちが「命の大切さ」を説いた。
男子生徒は家庭訪問に伴う短縮授業後のクラブ活動を終えた24日午後3時過ぎに下校。帰宅してから同級生の友だち12人と一緒に由良川戸田橋付近へ釣りに出かけた。中州に渡ろうとして深みにはまって流され、約1時間後に心肺停止状態で発見、救助されたが、25日未明に亡くなった。
26日は授業参観日だったが、学校は全校集会と各学級での安全指導に切り替えた。亡くなった生徒と一緒に川に行った生徒たち、ショックが著しい子たちは全校集会を欠席させ、スクールカウンセラーを緊急配備して、心のケアに備えた。
体育館で行われた全校集会では、最初に黙とうを捧げた後、校長が9分間にわたり、命について語った。搬送先の病院で父親から「日新中学校の子どもたちに、命の大切さを学ばせてやってください」とのメッセージを託されたという。手を伸ばして助けようとした友だち、朝元気に送り出した家族、下校で見送った教諭ら、周囲に悲しみは広がり、「命を亡くすことは本人の未来を断ち切るだけでなく、周りにも大きな心の傷を残す」ことも話した。「自分の命も、周りの人の命も大切にしてください。毎日の生活の中でしっかりと考え、正しく判断して、行動してください。それが彼の命をつないでいくことになります」と締めくくった。
続いて2年生(201人)の学年集会があり、学年主任で生徒が所属した野球部監督でもある教諭が、家族らに見守られながら病院の集中治療室で懸命に生きようとした生徒の様子を話した。
由良川でのことについては、「13人で魚釣りに行ったそうです。中州に慎重に渡ろうとしたが、先に渡った子が『深いから気をつけろ!』と言った時には流されていた」と悔しさをにじませた。「みんなが今できることは一つ。安らかにと送ってあげよう」と語りかけた。
全校集会、学年集会を終えて体育館を出た生徒たちは沈痛な面持ち。涙を流す子、一人では立っていられない子もいた。元気だった同級生が突然いなくなった悲しみが広がった。
日新中学校では、川の危険性について年度当初など要所で指導してきたが、校長は「集団で川に行くという具体的な場面を想定しての指導が不十分だった」と話した。
写真=全校集会に向かう生徒たち
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