京都府北部と兵庫県北部を走る第三セクター・北近畿タンゴ鉄道(KTR)は1日、「京都丹後鉄道(略称・丹鉄)」の名で再出発した。赤字脱却を図るため、運行と鉄道施設管理の収支を分ける「上下分離方式」を採用し、運行は高速バス事業を手がける「ウィラーアライアンス」が設立した子会社「ウィラートレインズ」が引き継いだ。同日、福知山市で開業式と出発式があり、沿線自治体、公共交通関係者ら約70人が、地域振興に期待を込めた。
KTRは宮福線が1988年、宮津線がJR線を引き継ぎ90年に開業。沿線人口の減少やマイカー普及で経営は苦しく、沿線自治体が赤字補てんを続けていた。13年度の乗客はピーク時の6割の187万人まで減少。経常赤字も過去最多の約8億9千万円に膨らみ、運行会社を公募で決め、KTRは鉄道施設の保有会社になった。
第1部の開業セレモニーは、駅前町の市民交流プラザふくちやまで催された。沿線の観光スポットなどを収めたDVD映像が流されたあと、村瀬茂高社長が式辞を述べた。「沿線には豊かな恵みや文化があるが、交通が不便。地元の方が利用しやすい鉄道にするため、鉄道と路線バスや船などの交通機関のネットワーク化を図り、利便性を高めたい。交通と沿線のまちづくりを連携させ、地域全体を活性化させたい。我々にはまだまだできること、やるべきことがたくさんあります」と意欲をみせた。
来賓の祝辞で沿線自治体代表の松山正治市長は「きょうから新たなステージが始まりました。民間のノウハウを存分に生かすことで、地域振興に大きな役割を果たしてほしい」と期待した。
■福知山駅でテープカット■
第2部は、福知山駅北口側でテープカットした後、丹鉄福知山駅で出発式があり、真新しい制服に身を包んだアテンダントの前田菜津美さんが、運転手の矢野裕城さんに花束を贈呈。関係者がくす玉を割り、開業を祝った。このあと一般乗客も乗せた観光型リニューアル列車「あおまつ3号」が天橋立駅に向けて出発した。
駅名板や構内の案内表示、制服などはウィラーグループのイメージカラーとなっているピンク色を採り入れたものに様変わりた。
運行の引き継ぎとともに、ウィラートレインズは本社を大阪市から宮津市に移転。KTR社員約190人が転籍し、沿線住民ら25人が新規採用された。お花見フリーきっぷや沿線イベントと抱き合わせのきっぷなど、多彩な企画乗車券を販売。5月下旬には沿線を舞台に大規模なイベント「大丹鉄まつり」を計画するなど集客に力を入れ、今年度の乗客を210万人に増やす目標を掲げている。
写真上=制服も一新、新しい鉄道のスタートを切った
写真中=福知山駅のホームで催された出発式
写真下=駅名板も「丹鉄」に
[PR]
株式会社両丹日日新聞社 〒620-0055 京都府福知山市篠尾新町1-99 TEL0773-22-2688 FAX0773-22-3232
著作権
このホームページに使用している記事、写真、図版はすべて株式会社両丹日日新聞社、もしくは情報提供者が著作権を有しています。
全部または一部を原文もしくは加工して利用される場合は、商用、非商用の別、また媒体を問わず、必ず事前に両丹日日新聞社へご連絡下さい。