岩手県知事、総務大臣を歴任し、政府が進める地方創生に向けた「まち・ひと・しごと創生会議」を担当する東京大学公共政策大学院客員教授、増田寛也さんが、人口減少時代の地方活性化を語る経済講演会が福知山で開かれた。福知山市商工会が主催して駅前町の市民交流プラザふくちやまで3日に開き、定員いっぱいの150人が聴講した。
演題は「2040年、地方消滅!!〜『極点社会』が到来する」。日本の人口は08年をピークに減少に転じ、向こう約100年間、下げ止まりのない減少期に突入していると推測され、同時に若者を中心にした人口の東京圏への一極集中が大きくなるという増田さん。
40年には全国の半分にあたる896の市区町村が、出産適齢の若い女性が半減するなど深刻な少子化に歯止めがきかない消滅可能性都市になるとした。
増田さんが座長を務める日本創生会議は、10年の統計で約8万人だった福知山の人口を、40年には5万6千人にまで落ち込むと試算。「東京五輪の影響で東京への一極集中が強くなることを加味した。このまま何も対策をしなければ、これに近い数字になると思う」と話した。
地方存続への鍵は、20代〜30代の若者がどれだけ地域で学び、働けるかが大きく影響するという。
一つの市や町の中だけでの解決は無理があり、中心市と近隣市町が役割分担して定住人口増加を目指すことで、国の支援が受けられる「定住自立圏構想」の活用も呼びかけ、「市町村合併はもういい。そんなことに汗を流している場合ではない。若い人が学び、働き、住んで過ごせる場を市域を超えてでも考えていくべきところまで来ている」と力説した。
福知山市は出生率が1・96と全国でも高水準にあり「福知山の出生率は素晴らしい。大学進学の18歳、就職の22歳で外に出ていく人をいかに止めるか、出て行っても戻ってきてもらえる地域にどうやってなるのか」が鍵とした。
人口減少は先が見えず、大きすぎる問題だが、今目を向けないと取り返しがつかない。地域力向上には人のやる気が欠かせず「やる気は0から100じゃなくてマイナス100からプラス100だと思っています。新しいことをすると必ず後ろ向きになる人がいるけれど、みんなで前向きにやるしかない。必要なのは、優れたリーダーシップと、地域の危機感のあり方だと思います」と締めくくった。
写真=地方消滅を防ぐための手立てについて話す増田元総務相
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