海で、川や池で、魚と向き合う釣り竿を、機能性だけでなく美しさにも手をかけ芸術にまで高めた逸品を集めた「漆のヘラ竿と石鯛竿」展が、福知山市夜久野高原、道の駅農匠の郷内、市やくの木と漆の館で開かれている。
展示しているのは竹を加工して竿にし、漆や貝などで装飾を加えた伝統的な釣り竿「和竿」。磯釣りに熱中するあまり、道具を自作したくなって和竿に魅せられ、木と漆の館へ漆塗りを習いに通うようになった神戸市在住、久保俊介さん(66)の作品を中心に構成している。
久保さんが竿作りを学んだ品川和竿一門の大石稔さん、仲間で高知県の佐竹都志一さん、愛知県の塚瀬登志男さんからも出品を得て、ヘラ竿15本、石鯛(磯)竿8本、フライ用などが多数そろった。
材料に使う極細の高野竹は、深い山に分け入り苦労して採取。よく乾燥させてから、相性の良い竹同士を選んで加工していく。例えば、竹は成長時期によって節の長さが変わるため、太めの手元用と細い穂先用を1本の竹から作ると節の間隔が違ってくる。そこで、ストックしている複数の高野竹の中から、節がそろう組み合わせを部位ごとに根気よく見つけ出して、1本の竿に仕上げていく。
漆塗りも、手をかけ丁寧に塗り重ね、久保さんは石鯛用1本を仕上げるのに1年かけるという。どの竿にもこだわりが見られ、美術ファンと釣り愛好家が一緒に楽しめる展示になった。
2月15日まで。水曜休館。ギャラリーの観覧は無料。
写真=自作の一本を手に和竿の魅力を語る久保さん
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