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両丹日日新聞2015年1月 3日のニュース

北陵そば復活で集落に活気を 地元で栽培開始

0101sobauchi.jpg 福知山市雲原などの北陵地域で、かつて盛んに作られていた「北陵そば」を復活させる取り組みが進められている。雲原で「大江山鬼そば屋」を営む荒砂尚樹さん(27)が中心になり、地域内の畑で栽培したソバの実を使用し、昨年末に少量の試作品を作り上げた。豊かな香りと甘味が特徴で、将来的には栽培面積を増やし、多くの人たちに特産の「地そば」を広めていきたいと考えている。

 市内の山間地にある北陵地域では、江戸時代以前から、そば作りが盛んで、村人たちがそばがきにして食べていた。江戸後期に鬼そば屋を開いた初代の荒砂武平治氏も店で地そばを出していた。

■過疎、高齢化で農家激減■

 昭和の時代に入ってからは、森林の斜面を焼いた跡地でソバを育てる焼き畑農業が広まったが、人手が足りなくなったため、次第に面積が縮小。通常の畑だけの栽培になった。その後、過疎・高齢化の影響で畑で作る人の数も激減した。

 鬼そば屋でも100%地場産のそば粉を使ったそばの販売が難しくなり、地元農家が作った実に市外で栽培されたものを混ぜてきたが、最近では提供してもらえる農家がわずか2軒になった。

 荒砂さんは「このままだと、将来的に地場産が使えなくなる」と危機感を持ち、自身で栽培を始めることを思いついた。地域の若者たちでつくる「北陵百姓会」の集まりで、その話をしたところ、会長の曽根司さん(33)=雲原=と妻の美穂さん(30)が賛同。荒砂さんの相談に乗るなどして、構想の後押しをした。

■獣害除けの柵、種まき、刈り取りに応援得て■

 当初は雲原地区内の畑を2枚(約10アールと4アール)借りて栽培する予定だったが、シカ、イノシシが多く、獣害除けの電気柵が必要で、自分たちでは早急に準備することが出来なかったため、計画は頓挫しかけた。
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 栽培を半ば諦めかけていたところ、地元でそば作りをする津根進さん(69)に柵を借りることができ、柵の本数に見合う4アールの畑だけで栽培を始めた。

 種まきは8月29日に荒砂さんと津根さんが行った。9月に入ると芽が出始め、順調に茎が伸び、下旬には白い花が咲き始めた。花が落ちたあと実がなり、11月12日に収穫した。

 収穫作業は荒砂さん、津根さんのほか、北陵そばに興味を持った京都市と神戸市に住む男性2人も手伝い刈り取った。津根さんは「地そばを作るための良い実が採れるようになるには、種をまき始めてから5年ほどかかる。刈り取りなどの作業は大変だが、今後も出来る限り協力していきたい」と言う。

 12月に約3キロの粉がとれ、地元の人から提供を受けた実も一緒に使い、北陵そばを作り上げた。香りが良く甘味のあるそばに仕上がり、限定で約30食分を来店者に食べてもらったところ、「おいしい」と好評を得た。

■徐々に面積増やし■
北陵そば
 荒砂さんは、栽培面積を徐々に増やす考えを持っており、今年は昨年諦めた10アールの畑でも作る予定。曽根さんも今年から栽培を始める。

 曽根さんは「高齢化が進む地域で、ソバ栽培が再び盛んになり、地元の活性化につながれば」と望む。荒砂さんは「地元でソバを作ってくれる農家が増えて、たくさん提供してもらえれば、いつでも地場産のそばが出せる」と期待する。

 そば作りを通じ、集落に活気が生まれていくことを信じている。


写真=収穫したソバの実を使い、そば打ちをする荒砂さん
写真=限定で出した北陵そば
写真=種まきは津根さんにも手伝ってもらった

    

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