ユネスコ世界記憶遺産登録候補資料を収蔵し、戦争がもたらす惨禍と平和の大切さを伝える舞鶴引揚記念館(舞鶴市平)が、12月1日からリニューアル工事に入る。期間は来年10月初旬までの大がかりな工事。これを前に、11月28、29、30日を特別感謝デーとして入館無料にする。
第2次世界大戦後、大陸や南方など海外に残された日本の軍人、民間人が引き揚げてきた史実を、貴重な資料を基に紹介する施設として1988年(昭和63年)4月にオープン。これまで、多い時には年間20万人が訪れてきた。
特にシベリア抑留の資料が充実しており、厳しい自然と乏しい食糧、過酷で危険な強制労働により、次々と抑留者が亡くなっていった様子を伝える展示が、来館者たちの胸を締め付ける。収蔵資料のうち、抑留者の日記、監視の目をくぐり抜けて持ち帰ったメモ、抑留体験画、帰国を待つ家族たちのハガキ、乗船者名簿など570点が「舞鶴への生還 1945−1956シベリア抑留等日本人の本国への引き揚げ記録」として、今年6月に世界記憶遺産候補になった。
しかし「戦後」が遠くなったいま、引き揚げを知らない世代が増えていることから、施設を全面リニューアルして、若い人たちにも理解、共感できるように工夫するという。また平和学習の場としての環境整備を図り、セミナールームを増築。常設展示していない資料を検索できるシステムを導入する。工事費は約3億8千万円。
工事期間中は、赤れんがパーク(北吸)で特別展を開いていく。
■眠りをテーマに抑留画の企画展■
引揚記念館では30日まで企画展「眠りの中に求めたもの−画家・橋本太久磨の抑留」を開いている。
過酷な一日の労働を終え、空腹のままで倒れ込むように潜り込んだ毛布の中。「いつか祖国に」と願い、家族のもとに帰る日を夢見ながら眠りについた日々を絵筆に託した作品を展示している。
開館時間は午前9時−午後5時で、通常の入館料は大人300円、小学生−大学生150円。電話0773(68)0836。
写真(上)=引き揚げ者が最初に祖国の土を踏んだ桟橋をイメージした展示コーナーなどを整備する
写真(下)=橋本太久磨さん「捕虜の眠り」
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