福知山市上野条に鎮座する御勝八幡宮で25年に1度の「御勝大祭」が来秋に迫り、上野条地区の人たちが奉納芸能・紫宸殿田楽の練習に取り組んでいる。平安時代中期の源頼光一行の大江山の鬼退治に由来するもので、先祖代々受け継がれ、地元の人は「ビンササラ踊り」と呼ぶ。
■頼光の鬼退治伝説に由来■
御勝八幡宮は、源頼光が戦勝祈願をしたとされる神社。本懐を遂げた頼光が、感謝の印として京の御所の紫宸殿で行われていた田楽を神社に奉納した。これが、野条の紫宸殿田楽として伝えられ、府無形民俗文化財に登録されている。
住民は、札状の板を数十枚つづり合わせた打楽器「ビンザサラ(ビンササラ)」を持つ12人、太鼓2人、笛2人、武者と山伏各1人の合計18人で構成。「烏飛踊」「袖振踊」など12番あり、踊り手は、ビンザサラを打ち合って鳴らしたり、ひざを曲げた状態で横に跳んだりする。
動きが激しいため、若い人でなくては務まらず、人口が減少している上野条では地元の人だけでは人数がそろわない。市内や近隣市などに住む出身者らに協力を求めて人数を確保し、月に数回練習。昭和42年(1967)、平成3年(1991)に参加したことがある60代を中心とした経験者が指導し、芸能を継承している。
御勝大祭実行委員会の谷洋志委員長(61)は「前回のときから、次回はできるかなと思っていました。なんとか人数もそろったので、成功させたい」と意気込む。事務局で上野条自治会長の小松俊彰さん(67)は「大祭のため、古里のために帰ってきてくれ、踊りを覚えて奉納してくれるのは地域にとって最大の喜び。後世に残るように頑張りたい」と話していた。
本籍地は上野条だが、生まれも育ちも大阪府という坂本幸平さん(23)は、昨年から上野条の祖父母宅に暮らし、今回初めて祭りに参加。「前回の大祭のときは生まれていないので、どんなお祭りか想像できませんが、楽しそうなので踊ることにしました。ぼちぼちと覚えていきたい」と励んでいた。
踊りを伝承していくため、規模は縮小するものの毎年秋の祭りで披露している。
大祭は来年10月12日の予定。
写真=身を入れて練習する踊り手たち(金山会館で)
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