今春の校長就任で、二足のわらじを履いていた福知山成美・田所孝二監督(54)は、今大会限りの引退を決めていた。京都大会4回戦・対乙訓戦が最後の指揮となり、「結果は残念でしたけれど、いい試合でした。みんな一生懸命やってくれた」と、悔しさを押し殺して選手をねぎらった。
監督生活18年。部員たちが自ら考え成長してほしいと、大事なところ以外は「やりすぎない指導」を心がけてきた。その種は芽を出し、花を咲かせ、甲子園春夏6回出場、全国8強2回の野球部を作り上げた。
監督最後のチームについて「このチームも(歴代チームの)18分の1ですよ」。一見ぶっきらぼうに聞こえるが、これが愛情。「それぞれのチームに思い出がある」と続け、全ての教え子たちに「プロや大学、指導者などで、どこでも頑張ってくれたらうれしい」とエールを送った。
最後の試合は延長11回のサヨナラ負け。対戦相手の乙訓ナインが試合終了後の整列を忘れてグラウンドで歓喜に沸く様子を見て、目を細めた。
勝っても負けても試合一つ一つにドラマがある。負けたチームにも優しい。「それが高校野球の魅力ですよね」としみじみ語った。
監督後任は、井本自宣部長(40)に託し、再び成美の甲子園出場を願う。
監督生活18年を振り返り「幸せでした。校長の任期が終わったら、成美のユニホームではないかもしれないけれど、野球にはかかわりたいかな」。そう言い残して、名将は最後のグラウンドを後にした。
写真=8回1死満塁のピンチで伝令を送る田所監督。左端が井本部長
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