日本の伝統工芸を支える漆を採取する漆掻(か)きが、7日朝から福知山市夜久野町で始まった。府無形民俗文化財「丹波の漆掻き」を守り伝えているNPO法人丹波漆が、山に酒などを供えてから、漆の木に今年最初の刃をあてる初鎌をした。これから4日ごとに作業を行い、夏の盛りが作業の盛りに。9月末まで続く。
漆の産地は全国でも少なく、夜久野は貴重な拠点となっている。毎年木を変えて採取をし、今年は2カ所で計9本の木を掻く。このうち初日は日置地域で作業をした。下草を刈り、樹齢15年〜20年の木に前日までに足場を組んで準備をしておいた。
NPOの岡本嘉明理事長(69)が日本酒「丹波漆」と菓子を供え、山に感謝を捧げてから木に鎌をあてた。使う道具は丹波独自の鎌、かんななど。一本一本の木の伸び方を考えながら、漆を掻き取る傷を入れる場所を見極め、樹皮を削ってから最初の傷を一筋入れた。
この後、4日ごとに作業を重ねて筋を増やし、4回目ぐらいから漆が取れだす。「今年の木はみんな葉の付きがいいから、1本の木から300ccほど取れないかな」と、岡本さんは話す。
■定住後継者も指導役を務め NPO丹波漆の講習会■
作業には漆掻きの後継者として夜久野に定住して2年目、城陽市出身の竹内耕祐さん(26)も参加。まだ岡本さんから教わることは多いものの、漆掻きは4年目になることから、一通りの技術は身についており、一緒に参加したNPOの漆掻き講習会受講者2人に、竹内さんが指導役を務めることもある。岡本さんは「こうやって若い人が頑張ってくれるのは、とてもうれしい」と顔をほころばせていた。
写真=若手後継者の竹内さん(右)らが漆の木に今年最初の刃をあてた(7日午前7時30分ごろ、夜久野町日置で)
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