福知山市新町アーケード内にある福知山鉄道館ポッポランドの展示物に、旧福知山機関区詰め所で長年使われていた大きな掛け時計が加わった。標準時間を示す精度が高いもので、懐中時計を手に出勤した機関士らは、点呼時に必ずこの「親時計」の前で時間合わせをしてからSLに乗り込んでいた。
親時計は、ダイヤグラムに沿った定時運行をするために欠かせない存在だった。毎日、ラジオの時報に合わせて調整され、乗務員は出勤時にこの時計を見て自身の時計を合わせ、秒単位での正確な運行をしていた。
掛け時計は高さ約1・6メートルで、文字盤の直径は約50センチ。時計の前面に「標準」の文字が金字で入っており、短針、長針とは違った場所(上方)に秒針を独立させて取り付けている。
詰め所に導入された時期は定かではないが、振り子部分の扉を開けると「時計の取扱方について 昭和38年7月9日」と手書きで記した紙が貼られている。
約3年間SLの運転をした足立和義館長(75)は「思い出が詰まった時計で、夢に出てくることもあります」と懐かしむ。「時間合わせを確実にするため、懐中時計は自分と助役とで2重の確認をしていました」。
掛け時計はその後、JR福知山運転所でも使われたが、福知山駅の高架化の際に役目を終え、その後ポッポランドで保管していた。今春から鉄道館の運営を西日本鉄道OB会福知山地方本部が引き継ぎ、展示品の見直しを進める中で、新たに公開することになった。今は昔のように時を刻む音は聞こえないが、修理をして再び動かすことを考えている。
写真=鉄道館内の壁に掛けられた時計
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